そして、金閣銀閣どちらからともなく話し始めた。
「いや、すまなかった。元はといえば、おれ達兄弟が、この町の宝を巡って対立したのが原因なんだ」
「その宝を持ったものはこの町の長になれる。だけどぼく達のどちらがそれを継承するか決められなくて、それで、町を分割統治することにしたのです」
「だけどいずれは決着を付けなければと思っていて、それでさっきそれを始めて・・・」
「しかしそのために町を火の海にしてしまって、民を混乱させてしまいました。どうすれば」
「おれはもう宝なんていらねえ。銀閣に譲る」
「いや、金閣兄さんにこそ受け継いでもらわなければ」
これらの会話を聞いていた3人の男達の1人が言った。
「全く、ここへ来てみれば、怪獣が暴れたみたいになるし、本当、こいつらとんでもねえやつらだなあ」
これを聞いて、僧侶は男に向かって「これ」と諭した。
それから、金閣と銀閣のほうを向いて、話した。
「だけど、おふたりは、あのとき協力し合ったではないですか。仲良くしようと思えばできるものですよ」
金閣が答えた。
「そりゃ、宝が手に入らないと思って、危機感がして・・・」
銀閣が続ける。
「ぼくも、よっぽど大変な事態になったと感じて、金閣兄さんに頼ろうという気持ちになったわけでして」
そして僧侶が話した。
「これからは、兄弟仲良く、この町を治めていきなさい。2人で一緒にここの長になるのもよし、どちらかが長になって、もう一方が補佐するのもよし」
「どうするかはこれからじっくり考えることにします」
「おお、そうだな」
これを聞いて、僧侶はうなずいた。
そして続けた。
「ところで、宝は・・・」
金閣と銀閣が答えた。
「宝?そんなものいらねえ。さっきも言ったけど」
「そのようなものがあるから、人々が、さっきのぼく達のように対立するのです。なくてもいいです。第一、宝は最初からなかったのでしょう」
それに対し、僧侶は叫んだ。
「誰か、あの宝箱を取ってきてくれませんか」
チューターが応えた。
「ぼくが取ってきます」
そして、さっきまで3人の男達が乗っていた円盤のほうへ向かい、それに乗って、どこかへ飛んでいった。
しばらくしたあと戻ってきて、円盤から降り、宝箱を携えながらやってきて、それをみんなの前に置いた。