ご無沙汰してますえれなです。

更新にとても期間が空きましたが想定の範囲内です(待て)


ラストに手こずっている間に季節は夏からすっかり秋になり、

なんだか書きたかった空気感を伝えることは可能なのかな…と思わないでもないのですが

このお話は完結させたいし、他にも書きたいものは溜まっていくので

季節外れ感否めないですが書き上げた次第です。

自分にはつくづく季節ものは向かないなと思いました…

これから書きたいネタは2つとも季節物なのでなんとも恐ろしい限りですが> <


ちなみに、読み手にはあまり関係ない情報かもしれませんが、

今回のSSの執筆中BGMは『月のしずく』(RUI/柴崎コウ)でした。

映画『黄泉がえり』のテーマソングですね。

私はこの映画をちゃんと見たことはないのですが、

この曲を聴くたびに、夏の終わりの夜の、狂おしい想い、に思いを馳せては色んなことを考えます。

今回のSSはその思考の果ての産物の一つです。。

(重いヨー!!)



さて、それではお楽しみいただければ幸いです。




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会いたいひと(3) (最終話)







「……リュカ?」

掛けられた声にはっとして振り向くと、そこには飲み物を持ったえれなが立っていた。

「……泣いてたの?」

近付いたえれなはそっと飲み物をベンチに置くと、こちらをのぞき込んできた。

「え?」

「だって、辛そうな顔してるから」

心配そうなえれなの顔を見るのが苦しくて、目を落とす。

「……そんなこと、ないんだけどな。何でもないよ」

何があったかなんて説明するのも難しい気がした。

こうしてみると、自分ですらあれは夢だったのではないかと思うのだから。

言う気のない気配を察したのか、それでも心配そうな顔をしたえれなに、

「……だったら、聞かないけど。でも、私はそばにいるからね」

そういってぎゅっと抱きしめられた。温かい。

自分の胸に顔が埋まるくらい小さいのに。

強ばっていた身体を暖めるように抱きしめられると安心する。

抱きしめ返すと背中を撫でられた。

自分はそんなに泣いているように見えたのかなと思うけど、

えれながなんだかぎゅうっと抱きしめてくれているのを見ると、相当だったのかもしれない。


しばらく撫でられるままにしていた。

心地よいけどこのままでいるわけにもいかない。

もうそろそろ、えれなをクロムウェルの屋敷まで送り届けなくてはいけない時間だった。

「えれな、ありがとう」

「泣き止んだ?」

「……泣いてないってば」

なんだかすごく心配されてるな、と思いながら身体を離す。温もりが名残惜しい。

「……本当に?」

心配そうな顔をしたえれなが顔を覗きこんでくる。

「本当だよ」

安心させたくてその瞳を見て言う。えれなの瞳に映る自分は泣いてはいないはずだ。

「……ね?」

瞳を見てそう言えば、やっと安心したように表情を溶かしたえれなに、


頭を撫でられた。


「っ……?」

「いいこいいこ」

よしよし、泣き止んでえらいねというように頭を撫でられて、


思わず吹きだした。


「あっ、これは、昔弟にしてたから、つい…」

我に返ったように手を離すえれなは夜目にも分かるくらいには赤くなっている。可愛い。

泣きそうになった自分を母親が撫でていたことがデジャビュする。

えれなは、自分の母親とは全然似てないのだけど。でもこんなところが似ているから。

どうしようもなく可笑しくて、笑いを止めることができなかった。


「…リュカ、笑いすぎ」

憮然とした面持ちのえれなが、真っ赤になったまま訴える。

「……ごめんごめん」

やっとのことで笑いを収めた。

自分を守ろうとするときは驚くほど気丈で勇敢なのに、

こんなことで真っ赤になって恥ずかしがっているえれなが愛おしくてしょうがなかった。

前から、えれなはそうだ。

裁判で自分を守ろうとしたときも。

気丈にローガンと渡り合ったのに、それでも自分の腕の中では真っ赤になったり、泣いたりする。

笑った顔が一番好きだけど、そうやって自分に見せる表情がくるくると移り変わるのを見るのも好きだった。

……自分だけに見せていることを知っていたから。

だから。

真っ赤になっているえれなを愛おしさのままにぎゅっと抱きしめる。

「わっ?!」

さっきまで自分が抱きしめてたくせに。

抱きしめられてなんだか慌てているえれなを見ると少し可笑しい。

「リュ、リュカ??」

「うん、やっぱりもうちょっとこうさせて」

堪えきれずにくすくす笑っていると、

「…まだ笑ってるでしょ」

「笑ってない笑ってない」

ちょっと拗ねたようなえれなの声までもが愛おしい。幸せだ。


えれなと出会わなければ、知ることもなかった幸せだ。

諦めたのかえれなはなすがままになっているけど、いつだって自分を想っていてくれることを知っている。

気丈で、優しくて、笑顔が可愛くて。でもすぐ真っ赤になったりする。


もう帰らなきゃな、と思いながら、あとちょっとだけ、と思って名残惜しい温もりを抱きしめた。






――母さん。どうか安心して欲しい。

自分は、幸せに生きているから。 

これからも、きっと幸せでいるから。


……それがもう、自分があなたにできる唯一のことだから。




[おしまい]

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もうお気づきかとは思いますが、表題の『会いたいひと』は

言葉通りの意味と、『会いたい(けどもう会えない)ひと』の意味があります。

リュカにとってはリュカレディちゃんとお母さんですね。


あなたの会いたいひとは、誰ですか?