第二十四話 ベンゼン環と光の芸術
どうも、ぶっちゃけネタ切れしそうなので、ネタを募集したいと思っているサイエンス中野(炭素)です。今回は、多環芳香族炭化水素についてお話したいと思います。
多環芳香族炭化水素はベンゼン環が縮合した構造をもつ炭化水素の総称です。ベンゼン好きなマニアにはたまらないかもしれません。
今回は多環芳香族炭化水素の性質についてお話しながら、幾つか具体的な物質をご紹介したいと思います。(マニアな向けへの注意:今回はアズレン等の非ベンゼン環芳香族炭化水素には触れません)
多環芳香族炭化水素に見られる特徴の一つに、紫外線の波長に吸収帯があり、蛍光を発するという性質があります。特にアセン(線形多環芳香族炭化水素。アントラセンやペンタセンなどのベンゼン環が真っ直ぐくっついたもの)は蛍光色素としての研究がなされています。
他にも、光とは関係しませんが、星間分子として宇宙に存在することがあるのも特徴の一つです。例えば、コロネンという分子があります。
これがコロネンです。ベンゼン環6つが輪っかになっている構造です。この分子も星間分子の一例であり、コロネンの名前の由来は太陽のコロナから来ています。最近の研究では土星の衛星であるタイタンに存在するということが分かっています。
コロネンの面白い特徴をもう一つ。コロネンは珍しく、有機鉱物になります。コロネンが結晶化した鉱物がカルパチア山脈から発見され、カルパチア石と名付けられています。
(Wikipediaより 黄色い針状結晶がカルパチア石)
因みにこのカルパチア石という鉱物も蛍光を示し、青色に光ります。
コロネン以外にも、ベンゼン環6つで出来た分子があります。その一つが[6]ヘリセンです。
ヘリセンは螺旋状になっている(キラリティーが存在する)ので、光学活性があります。光学活性とは、直線偏光の角度を変える働きです。要するに、ヘリセンに偏光を当てると、その向きが変わるということです。ニューマンによるヘリセンの発見は、不斉炭素原子を持たずともキラリティーが発現することを知らしめた偉業です。


