第二十一話 気体でも液体でもない「超臨界流体」

 

どうも、最近カフェイン中毒気味のサイエンス中野(炭素)です。今回は超臨界流体についてお話したいと思います。

 

まず、超臨界流体というものは何かということについてお話します。以下のグラフを見て下さい。

 

 

図の青い線は蒸気圧曲線と言い、この温度、この圧力のときに固体と液体の間の状態変化が起こるというものを示しています。しかし、どんどん温度と圧力を上げていくと、この蒸気圧曲線が切れてしまいます。この蒸気圧曲線の限界の点を臨界点といい、これより高温高圧になると物質は超臨界流体になります。

 

超臨界流体はこの記事のタイトル通り、気体でも液体でもありません。超臨界流体は液体のように他の物質を溶かす能力と、気体のように拡散する能力があります。

 

では、この超臨界流体はどのように利用されているのでしょうか。

 

例えば、超臨界流体の二酸化炭素は様々な物質を溶解します。これを利用して、物質の抽出に用いられることがあります。身近なものに応用されているものの一つに、コーヒーの脱カフェイン処理があります。超臨界二酸化炭素にコーヒーを入れ、カフェインを融解させます。この後、圧力を下げ、二酸化炭素を気体にすればカフェインを取り出せます。二酸化炭素は圧力を上げ、再度超臨界流体にすることで再利用する事ができます。

 

超臨界水は一部のバイオマス発電に利用されています。バイオマス発電は主にサトウキビやトウモロコシから作ったバイオエタノールを燃料としています。しかし、これによって食料と競合し、穀物市場での高騰の引き金となりかねません。なので、非食用のものを原料とする燃料(第二世代バイオ燃料)の利用が考えられました。

 

第二世代バイオ燃料の一つに、セルロシックエタノールがあります。名前の通り、セルロースから作られたエタノールです。しかし、これを作るにはセルロースを加水分解する必要があります。超臨界水はこのセルロースの加水分解に利用されています。