第十八話 異端なる金属 -ビスマスの不思議-
どうも、サイエンス中野(炭素)です。今回はビスマスという金属元素についてお話したいと思います。
皆さん、ビスマスという金属をご存知でしょうか。あまり聞きなれない人もいるでしょう。なので、簡単に説明します。
ビスマスは原子番号83番の典型金属元素です。古くから日本では「蒼鉛」と呼ばれ、自然蒼鉛(Bi)や輝蒼鉛鉱(Bi₂S₃)という鉱物で産出します。この金属は人体に害が少なく、医薬品に使われることあります。
さて、このビスマスですが他の物質にはあまり見ることができない特性があります。
一つ目は、ビスマスが異常液体ということです。異常液体とは、液体から固体に凝固するとき、体積が増加する物質の事で、身近な例の一つは水です。これは固体の結晶構造に隙間が多く、分子が自由になる液体の方が最密に近くなるからです。通常の液体は凝固する場合、体積は減少します。しかし、ビスマスや水はその逆となるので「異常」液体と呼ばれます(常温ではビスマスは固体です)。
二つ目は、特殊な結晶を形成することです。以下の写真を見て下さい。
サイエンス中野(炭素)の私物。2016年の冬コミで購入。
綺麗な結晶ですよね。では、何故このような結晶ができるのでしょうか。
まず、この美しい色は表面の酸化被膜によって、光の干渉が起こって虹色に見えます。なので、厳密にはビスマスの色ではありませんが、とても綺麗な色ですよね。
そして、この特徴的な結晶は、偽立方の稜(はし)から結晶が固まるためにできるものです。ちなみに、この結晶構造の事を、「骸晶」と言います。この「骸晶」という言葉、覚えていて損はないと思いますが、私は日常生活で一度も使ったことはありません。
他にも変わった特徴があります。あまり知られていないのですが、ビスマスは放射性元素です。
自然に存在するビスマスは殆どがビスマス209なのですが、ビスマス209の半減期はおよそ1900京年と言われています。宇宙の年齢が約138億年だと言われていますから、この半減期がどれ程長いかが分かりますね。放射性元素ですが。放射能が弱いので事実上の安定元素で、身近に置いても全く害がありません。
