第十五話 ナノチューブ生成の革新 -スーパーグロース法-

 

どうも、年賀状をさっき投函したサイエンス中野(炭素)です。元日中に届けばいいですね。

 

今回はカーボンナノチューブの生成法のうちの一つである「スーパーグロース(SG)」について話そうと思います。

 

カーボンナノチューブの課題として、もっと長いカーボンナノチューブを得るという課題がありました。以前では数マイクロメートルの長さが限界でした。しかし、このスーパーグロース法では数ミリメートルのナノチューブを生成することができます。従来よりも500倍長いカーボンナノチューブを作れるようになれました。まだ、宇宙エレベーターのケーブルに使うにはまだ短いですが、将来に期待ですね。なお、時間効率で比較すれば従来の3000の効率で、驚異的な差があるといえます。

 

さらに、このスーパーグロース法で得られるカーボンナノチューブは従来のものより不純物が2000分の1と超高純度で、決まった方向に成長します。このナノチューブは金属基板に垂直になって生えるのですが、この基板のバターンを変えて自由にマクロ構造体を作成することができます。その上、生成後にナノチューブは基板と容易に外れます。その結果、現在行われているナノチューブと触媒を分離する複雑でコストの高い操作を省くことができます。

 

では、このスーパーグロース法は従来の方法と一体何が違うのでしょうか。じつは、基本はCVD法と同じです。

 

CVD法は石英などの管の中に金属基板を設置し、管を加熱しながら炭化水素やアルコールを管内に流すことでカーボンナノチューブを生成するという方法です。CVD法とスーパーグロース法と大きな違いは、管内に流すガスにごく微量水を加えるというものです。

 

従来の方法とそれ程変わらず、効率が飛躍的に向上しているので、将来のカーボンナノチューブ工業的生産への利用が期待されています。すでに日本ゼオン()とスーパーグロース法を発見した産業技術総合研究所が協力してスーパーグロース法によるカーボンナノチューブ量産を開始しています。

 

余談ですが、産業技術総合研究所内のサイエンススクエアつくばには、このスーパーグロース法で作られたナノチューブで折られた折り鶴があります。

 

撮影:サイエンス中野(炭素)