第十二話 ピーポッドの可能性

 

どうも、好きな音楽は幅広いのに誰とも趣味が合わないサイエンス中野(炭素)です。今回はナノカーボンマテリアルの一つであるピーポッドという物質についてお話したいと思います。

 

このピーポッドという物質は、カーボンナノチューブの中にフラーレンが入った物質です。ピーポッド(peapod)は、さやえんどうという意味で、カーボンナノチューブをさや、フラーレンを豆に見立てて名付けられました。

 

カーボンナノチューブとフラーレンを混ぜて500℃に加熱して2日間放置すると、ナノチューブの中にフラーレンが入ってピーポッドになります。ピーポッドの発見には面白い秘話が隠されているのですが、それについてはまたいつか話すとしましょう。

 

ピーポッドの研究されている理由の一つに、この物質の独特な電気的物性が挙げられるでしょう。

 

この物質の電気的物性はピーポッドに使うカーボンナノチューブとフラーレンの種類によって変わります。カーボンナノチューブには、金属のように電気をよく通すものと、ケイ素(シリコン)のように半導体のものがあります。ピーポッドも同様に、電気をよく通すものあまり通さないものがあります。

 

更に、半導体のカーボンナノチューブを使ったピーポッドでは、ナノチューブの半径によってそのピーポッドのバンドギャップが変化します。バンドギャップというのは、その物質に電気を通すのに必要な電圧と思っていただければ、わかりやすいでしょうか(厳密には、かなり複雑な話なので割愛します)

 

ピーポッドの研究はこれだけではありません。例えば、単層カーボンナノチューブを使ったピーポッドを約1200℃に加熱すると、フラーレンが壊れてナノチューブになります。ナノチューブの中でナノチューブを作ることになり、結果二層カーボンナノチューブが生成されます。

 

金属の内包ピーポッドというものもあります。金属原子が中に入っているフラーレンを使ったピーポッドのことです。この物質も特徴的な物性を持っています。

 

 

 

半導体のカーボンナノチューブを使ったピーポッドは、金属のように電気を通します。金属内包ピーポッドを加熱して二層カーボンナノチューブを作ると、金属原子が一直線に並びます。そうすると、金属原子同士がくっついてワイヤー状になります。これをナノワイヤと言います。このカーボンナノチューブの中にナノワイヤがある物質も電気的に特異な物性をもっていると予測されます。

 

他にも、ピーポッドでは固体なのに分子が動く「分子ベアリング」という面白い研究があります。興味がある方は是非調べてみてはどうでしょうか。