第七話 カーボンナノホーンとカーボンナノブラシ
どうも、自宅でドリアンのお菓子を誤爆して換気した結果、風邪をぶり返したサイエンス中野(炭素)です。今回はドリアンの臭いの原因物質……ではなく、ナノカーボン素材である「カーボンナノホーン」と「カーボンナノブラシ」についてお話しさせていただきます。
まず、カーボンナノホーンについての説明をします。カーボンナノホーンは1998年に当時NEC所属の飯島澄男教授によって発見されました。教授はカーボンナノチューブ以外のナノカーボンも発見しているのですよ。
上の図を見てください。これがカーボンナノホーンです。カーボンナノチューブがホーン(つの)のような形になったものがカーボンナノホーンです。この物質は単独で存在しているのではなく、下の図のウニのような形の集合体として存在しています。ちなみにこの集合体の直径は約100nmでほぼ均一なのも特徴です。
さて、このカーボンナノホーンはどのような応用が期待されているのでしょうか。
例えば、カーボンナノホーンは吸蔵材料に使えるのではないかといわれています。カーボンナノホーンは中が空洞で簡単に穴を開けることができ、中に物質を詰めることができます。
特にフッ素やメタンの吸蔵性能はとても優れていて、将来の吸蔵材料の利用が期待されています。
カーボンナノホーンは表面積が大きく、白金粒子を担持させれば良質な触媒になります。さらにカーボンナノホーンは電気をよく通し、固体高分子型燃料電池においてカーボンブラックの触媒担持体と比べて電流密度が大きく優れています。簡単に言いますと、従来のものより多く電気を流せるということです。
カーボンナノホーンを使う利点はこれだけではありません。カーボンナノホーンは他のナノカーボンマテリアルと比べて、生産コストが低いのです。機械もわりと安価で、グラファイト(黒鉛)にCO2レーザーを当てるというものです。単層カーボンナノチューブは金属触媒を必要とするのに対し、カーボンナノホーンは金属などの触媒を必要としません。なので、わざわざ触媒を用意する必要はなく、混じった金属を排除する手間もコストも省けます。
カーボンナノホーンが発見されてから時は流れ、2016年6月末のことです。NECの弓削亮太研究員が新たなナノカーボンマテリアルを発見します。これが「カーボンナノブラシ」です。
カーボンナノホーンの集合体が丸棒ブラシのようになっています。この物質はカーボンナノチューブとカーボンナノホーンのいいとこどりをした性質をもっていると言われています。
このカーボンナノブラシはプラスチックやゴムに混ぜて、電気を通すようにしたり、今まで以上にエネルギーデバイスの性能を上げたりすることができるとされています。
将来の生活を変えるのはこの物質かもしれませんし、そうではないかもしれません。
ナノカーボンマテリアルが活躍する未来、私はそれを見てみたいです。そして、その将来を作るのはこれを読んでいるあなたかもしれませんね。


