~~~~裁判の流れ~~~

1、「検察官の冒頭陳述」

検察官が事件のストーリーを即興で考えて起訴します。(もちろん事前に準備するのもアリです)

証拠を揃えて言い逃れできぬように逃げ道を塞いで被告人に厳しい裁判にするのか、あるいは弁護人と議論ができるような程よく緩い裁判にするのかは、検察官のセンスに任されます。素材を提供し、全体の流れを制する立場なので裁判を面白くする上では責任が一番重いと言えます。また裁量を任された自由な役割でもあります。

冒頭陳述中では、被告人がどういう背景でどういう経緯で犯行を行い、その後、被告人はどのように検挙されたのか。そしてそのようなことをした被告人を何の罪で起訴するのかを詳細に話します。ここまでが冒頭陳述となります。説明が不十分だと、途中で裁判官につっこまれたり、あとで弁護人にいいように解釈されてしまうので要点をしっかり話す必要がある、検察官にとって最重要なパートです。ここがあまりにいい加減だと裁判官の心証が悪くなり、弁護人には格好の反論材料を作りだしてしまうので、わざとやる分にはいいですが、勝ちを狙いたい検察官はしっかりやる必要があります。

2、「被告人、起訴事実に間違いはありませんか?」

被告人はここで究極の選択を迫られます。

「その通りです、間違いありません」と言えば、有罪はほぼ確定されます。でも認めているので罪は軽くなります。認めると情状立証というパートが発生し、いかに反省しているか、なぜ、そうせざる得ない状況だったか、などを弁護人と共に訴える、というドラマチックな展開が起こるので決してつまらないものではないと思います。でも冒頭陳述で話されている罪があまりに重いと、情状を訴えるも極刑は免れないケースもあります。例えば2人以上殺害してしまった、など。冒頭陳述での罪状の軽微で否認するかどうかを判断するのもアリです。

「否認します」と言えば、無罪か有罪かを争います。否認しているので情状での弁解はできなくなり、検察側が勝つとその求刑に近い量刑を食らってしまいます。でも、検察側の証拠不十分の方向にするべく被告人、弁護人が奮起して頑張れば無罪を勝ち取ることもケースによっては不可能ではありません。この検察官、大したことなさそうだ!とか、この検察官、手加減してくれてる!とか思えば否認するのも良いと思います。

3、「それでは検察官、証拠調べに入ってください」

重要な証拠の提出パートです。ここでほぼ勝敗が決まるといっても過言ではありません。検察官の腕の見せ所であり、また、わざと手加減して裁判を面白くするという別の意味での手腕も問われる大事なパートです。当然ながら、ここがいい加減だと、どんな事件でも「証拠不十分」となり、無罪になってしまいます。反面、証拠を雑多に上げまくるとあとで弁護人や裁判官から矛盾点などがあれば突っ込まれるので検察官はポイントを絞る必要があります。また、検察官は本イベントでの主人公であり、ゲームデザインをする役割なので、参加者にスリルを与えるためにも「起訴するからには有罪にするのが検察官の義務」という前提はある程度、自覚しておく必要があると思います。その上で、有罪無罪ぎりぎりのところでやるのか、有罪前提でどういうことを争うのかなどは検察官が主導権を握っています。

4、「弁護人、検察官の証拠について反証があればどうぞ」

弁護人の晴れ舞台です。検察官が提出した証拠について証拠能力を疑う旨の突っ込みを入れまくるパートです。ここでの弁護人と検察官の応酬は当法廷のハイライトシーンだと思います。弁護人側としてはここでうまく検察が出した証拠を証拠能力がないものだと主張することが本法廷での重要な仕事となります。

5、「情状立証に入ります。弁護人から被告人尋問をどうぞ」

否認しない場合での、被告人がいかに同情すべき状況であったか、あるいは、今は反省している、こんなことをして罪を悔いている、こんなことを言っていた、など、弁護人が弁護をしてかばうパートです。なんとか減刑してもらうための大事なシーンです。悲惨な事件が多い刑事裁判ならではのドラマ性がある展開になります。

6、「情状立証に入ります。検察官から被告人尋問をどうぞ」

5とは正反対で、本当に反省しているのか否かを検察官が被告人に問います。客観的に反省をしたと言えるのか?それらを検察官が確かめようとします。攻撃的、誘導的になる形になりがちで、弁護人の「異議あり!!」が多発するパートです。このパートだと検察官が意地悪な人に見えることが多いです。

7、「否認裁判なので情状立証はしません。検察官から被告人尋問をどうぞ」

罪状を被告人が否認している時に発生するパートです。検察官が証拠調べで補えなかった証拠をさらに固めるために被告人口頭での証拠(公判中の言質)を尋問します。もちろん弁護人は都度、異議を唱えることができます。

8.「裁判所から被告人に訊きたいことがあります」

これまでのやりとりから判定を下す立場である裁判官がどうしても確認したいことを被告人に尋問するパートです。裁く重責ゆえに細かいことをしつこくきいたり、心理面について本音を聞き出そうとしたりします。どう見ても証拠不十分であったり、あるいは逆に完全に証拠が固まっている場合は質問が少なくなる傾向があります。裁判官的に判定が難しい事案だと、非常にしつこく追求してきます。

9、「検察官、論告と求刑に入ってください」

検察官が、被告人はこれほどに悪い奴であるからこれだけの量刑を課されるべきだと求刑をする場面です。裁判の推移に即して、具体的に批判する表現があると判定に有利に影響します。

10、「弁護人、最終弁論に入ってください」

弁護人が、検察側の起訴している事柄はこれこれ、こういうわけでおかしい。これで罪に問えるわけがない、あるいは、起訴事実について反論はしないが、被告人にはこういう事情があったのだから、そんなに重い求刑はおかしい、納得できない。これこれこういうわけでこれぐらいの減刑を切に願いたい、と言うパートです。理路整然と展開すれば判定に有利に影響します。

11、「被告人から何か言いたいことがあればお願いします」

被告人が否認であればなぜ否認するかを自分の言葉で熱く訴える、そうでなければ反省の意思を熱く言葉で訴える、そういうパートです。反省してる場合は裁判官にそれを伝えるための大事なパートになります。

12、「審理に入ります。しばらくお待ちください。判決を言い渡します・・・」

当イベントをしめくくる判決です。双方の努力や工夫への判定となります。ここでその裁判は終わります。ここで「不服があれば控訴してください・・・」とか「本件では審理不能です」と裁判官が言った時は、公判中に新事実が出てきて審理のやりなおしが必要なとき、あるいはいろいろな事情で裁判官が判定をするのが難しい状況(知識不足など)の時です。