面白くて最後まで一気に読んでしまった。

奇想天外な展開。ロードムービーであり家族って何?でありミステリーである。


父親の不倫、そして失業。随分前から父親はほとんど家に居着かず影が薄い存在になった。母親は何故かそんな父を許し1人で機能不全な状態に陥っている家族をつなぎ留めている。しかし子供達の結婚独立を機に老朽化した実家を解体することに。3日後に家族は解散する。

引っ越しのため父を除いた家族で倉庫の荷物を確認しようとシャッターを開けた時、想定外のものを発見してしまう。

それはニュースで流れていた「青森県の神社から盗まれた御本尊」にどう見てもそっくり。誰も声に出さなかったが瞬時に一同は判ってしまう。容疑者は父親しかしない。何せ前科があるのだから。

ニュースで神社の神主が「祭りが行われる明日、日を跨ぐまでに返却すれば被害届は取り下げる」とのコメントが。

何とか返却し穏便に事を済ませたい。千キロ離れた神社まで車に乗せて家族で運ぶことに。

トラブルに見舞われながら青森へと向かう道中、徐々に違和感を覚えていく。いつも何を考えているか全くわからない父親だが、本当に盗んだのは彼なのか。挙動がおかしい長男に姉、姉の婚約者もなんだか怪しく思えてきた。果たして真相は。


なんだかふざけた始まりでドタバタ劇かと思いきや、家族の暗部に触れるような重ための展開。家族って?

どこの家もホームドラマの家族みたいな素敵家族じゃないのよ。