本番まで10日を切りましたが続々と参ります!
*侍TTP旅のしおり*
ブログ限定企画第3弾は……
とりつく島にも花が咲く
脚本・演出の小池悠実にインタビュー!
*目次*
①脚本について
②演出について
③キャストについて
④こだわり
⑤最後に
①脚本について
井:元々お笑い畑の小池くんが書いた脚本は、2018年4月1日、小学校の同窓会で30年ぶりに再会した「くろやん」「さのっち」「スケベ」の3人が繰り広げる会話劇ですね。
小:殺陣なし!ダンスなし!イケメンなし!かっこいい台詞なし!侍らしからぬ地味な脚本です。かっこいいキャラとか台詞、書けないんですよね。
確かにアクションや決め台詞のようなわかりやすい見せ場があるのではなく、何気ない会話の中に笑いが散りばめられている、4作品の中でも異色の作品となっています。
そうですね。僕は小林賢太郎やTEAM NACSが大好きなんですが、彼らの作品は何か劇的なことが起こるのではなく、キャラクター達がただ喋ってるだけで状況やキャラクターの気持ちが大きく動いてしていくんです。だから僕も脚本の構成そのものでお客さんを楽しませたい、という気持ちが強いですね。
また、イケメンなし、とのことですが、今回の登場人物は全員平凡なおじさんですよね。
元々「流れる時代」をテーマにしたかったので、昭和から平成、平成から令和という時代の移り変わりを二度経験した世代を書きました。実は彼らの思い出話の舞台は1989年、昭和から平成に変わる年なんですよ。
あと単純に「おじさん」が好きですね。特に、ちょっとかっこわるかったり、ダメだったり、変だったりする“持ってない”おじさんに惹かれます。
今回は「ぐっさん」というホームレスが登場しますが、その“持ってない”人ということですか?
そうですね。でも“持ってない”のは「ぐっさん」以外のキャラクターも皆そうなんですよ。この脚本は、“持ってない”人の、他人からすれば何でもないようなことだけど、本人からしたら深刻な大問題。それを解決する物語……“マイナスの人をゼロにする話”です。
ゼロにする、というと?
過去が変わることはなくても、出来事の捉え方が変われば救われることってあるじゃないですか。
ないと思っていた希望が、未来が、実はそこにあったんだよって見せることで、プラスは無理でもゼロになる。またイチからスタートできるようになる。そうやって救われる作品を書きたいと思っています。
救済のストーリーを「笑い」に包んで見せるのが小池くんならではという感じがします。こういったコントや漫才のような掛け合いを書くのは楽しいですか?
楽しいですね。笑いを詰めて詰めて詰め込みたい。お客さんに飽きる暇を与えたくない。そうして書けばかくほどネタが増えるし、前半で深く考えずに入れた小ネタが後半でどんどんつながってきたりする。
書き手が一番気持ち良い瞬間じゃないですか。
でもそしたら脚本が長くなり過ぎるんですよ!つながっちゃったら片方切るわけにもいかないし……
ジレンマですね。
②演出について
演出として力を入れていることは?
限りなくコントに近い演劇なので、とにかくお客さんを笑わせるために全力を尽くしたいですね。
演者自身の外見とか学力みたいなコンプレックスで笑いを取ることについては賛否がありますけど、僕はネタにする=マイナスをプラスに転換する行為だと思うんです。
たとえば「ぐっさん」はちょっと頭のおかしいホームレスというキャラクターですけど、僕はそういう人たちを馬鹿にしたくてやってるわけではなくて、振り切れた人の魅力、愛すべき部分を見てもらいたい。親しみを感じてもらいたいんです。
それはかなり繊細な演出が必要ですね。
はい。笑ってもらえるよう、でも誤解や嫌な感じを与えないよう、皆のプラスになるようにギリギリのラインを模索しながら取り組んでます。
③キャストについて
最初は男手不足でどうしようかと思いましたが、なんだかんだいい感じに収まりましたね。
*黒やん*小池悠実
今回のように笑いの多い舞台は、お客さんの空気を読みながら役者も演技を変えないといけないから、双方の様子をみて演技を調整するバランサーって結構重要なんです。
重要な割に地味な役どころですけど、僕の性格に合ってるのか、意外と楽しんでやれています。
*さのっち*佐藤伸哉

さとしんさんはスベリ芸の印象が強いですが、元々「おもしろ」にすごく敏感で、かつそれをちゃんと演技で示せるんですよ。
ただネタ自体が面白くないとスベることになるんですけど……“ネタ”と“ネタを演じる技術”は別物ですからね。
*スケベ*住吉拓海
拓海はすごいですよ。存在が面白いって言うんですかね。
脚本の性質上、台詞を覚えて舞台で喋ればそれなりに面白くなる代わりに、想像を超えた面白さを出すことは難しいんですが、拓海はそれをやってくれるんですよ。
僕にできないことをやってくれる男です。
まあ、ノッてきたらたまに台詞トぶのが困りものなんですけどね。
*ぐっさん*小林達矢

かなり振り切れた役なので、僕自身試行錯誤する中、失敗を恐れずいろんな形で演じてくれる、こちらから投げかける以上に色々試してもらえるのはありがたいです。
ホームレスの胡散臭さとかアブない・近寄り難い空気を醸し出せるのはすごいなと……いやこれ褒めてますからね。
男手不足、とのことでしたが、今回の4作品で唯一キャストが全員男性の作品なんですね。
はい。男だらけでむさく楽しくやってます。
④稽古場では
さっき少し話しましたが、お客さんを笑わせるには、演技力と別で“ネタを演じる技術”が必要ですから、それを鍛えるためにコントエチュードに取り組んでます。ネタの良し悪しは関係なく、自分の役割(ボケ/ツッコミ)に沿って見せたいもの=笑い所をわかりやすく示すテクニックやリズム感を身につけるための練習です。
この作品は純粋な演劇では決してないし、かといって新喜劇みたいなコテコテのコメディというわけでもない。
バランスをとるのに苦労してますけど、その中で僕の見せたい「笑い」を真摯に突き詰めていきたいと思います。
「お笑い」ってシリアスな演劇より気楽なイメージを持ちがちですが、同じようにストイックな世界なんですね。
ですね。あ、けど稽古場は楽しいですよ。稽古を楽しむようにしてます。
だって、やってる本人が楽しくないとお客さんだって楽しくないんです。
お笑いもそうですから、演劇だってきっとそうなんですよ。
⑤最後に
ごちゃごちゃ言いましたが、何も考えずに笑って楽しめる作品です!2回目も観てもらえるように頑張ります!!
以上、侍TTP旅のしおり第3回「とりつく島にも花が咲く」編でした~!
次回は「00-reiwa-東広島妖械機録-」編!お楽しみに!
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■公演概要
芝居空間侍エレクトリカルパレード番外公演
「侍タイムトラベルパレード」
「時は流れ、人生は続く」
今回の侍は「時代」をテーマにした4作品から成るオムニバス公演!
切なく、激しく、そして熱く、4つの時代を生きるものたちの姿を鮮烈に描き出す!
過去と未来を繋ぐ"タイムトラベルパレード"へようこそ!!
【演目】
『空海夜行風流談~人魚姫の章~』
『平賀源内奇談』
『とりつく島にも花が咲く』※上演回:①③のみ
『◯◯-reiwa-東広島妖械機録』※上演回:②④のみ
【日時】
8月24日(土) ①13:00 / ②18:00
8月25日(日) ③11:00 / ④15:00
(開場は開演の30分前、上演時間は120分を予定)
【場所】
東広島芸術文化ホールくらら 3Fサロンホール
【料金】
前売り(事前精算) 1,500円
前売り(当日精算) 1,700円
当日券 2,000円
【キャスト】
森新太郎
小池悠実
佐藤伸哉*
柳ヶ瀬祐規
宮﨑香陽子
吉原愛莉
小林達矢(フリー)*
中野歩(プロ和太鼓奏者)
大原伊織 (フリー)
住谷拓海(フリー)
爲政茉佳 (広島大学演劇団)
松原浩子(広島大学演劇団)
宝子丸ゆうか (フリー)
*佐藤伸哉・小林達矢は「空海夜行風流談」Wキャストです。
添付の演目早見表をご参照ください。
【SNS】
○Twitter
@elekisamurai
○Instagram
@elekisamurai