非課税と言うとき、所得税は稼いだお金(収入)を所得に換算して、そこから諸控除を引いて、残ったものに税率をかけて求め、課税・非課税の判定をします。

 

一方、住民税は、稼いだお金を所得に換算した時点の金額で、住民税均等割の課税・非課税の判定をし、そこから諸控除を差し引いて残った所得に税率をかけて住民税所得割を求めます。諸控除を引かれる前の所得が一定金額を超えた時点で均等割が課税されることとなるため、たとえ控除を差し引いた後の所得割が掛からなくなっても、非課税とは呼べなくなります。

住民税の方が、均等割の判定では諸控除が考慮されない分、課税非課税の判定では、所得税より基準がより厳しいと言えます。

また、この非課税という概念が、行政から受ける公共サービスにたびたび基準として用いられています。

 

所得税も住民税も個人を基礎にする課税であって、配偶者・被扶養者が控除に組み込まれていても、税務署では、世帯員の把握までしていないので、所得税では世帯で課税・非課税という概念そのものがありません。そもそも課税資料をほかの目的(住民サービスなど)に使うことがないので、不要なのです。

一方で、住民税は、住民票で世帯の状況を把握できるので、世帯員全員の所得を合算して住民税非課税世帯の判定が可能となります。そして、世帯の所得状況に応じた施策(住民サービス)ができるようになるのです。

 

所得税においては、所得の多寡によっては、申告不要の場合があるために、未申告という概念がありません。申告すべき所得がありながら、隠して申告をしないという脱税行為と未申告とは少し意味合いが違うのです。

住民税においては、その所得・控除などの税情報が、行政サービスに深くかかわるために、所得がない場合には、税が算出されない場合であっても申告をしないと未申告という状況が生まれます。

 

そこで問題に思われるのは、行政から本人の住民税未申告状態について、何らの通知も催促もありませんが、それは申告をして非課税の判定を受けた場合も、同様に何も通知がないので本人にしてみれば、毎年申告をしなければいけない重要性を見落としがちになるように思われることです。

 

今回、コロナ禍に伴う、非課税世帯に対する10万円の臨時特別給付金の資格の審査にあたり、世帯の中に扶養が漏れていると思われる場合や、未申告状態の人がいる場合にも確認のために申請用紙が配布されているようです。それは、これまでの行政の対応の中では異例なことだと思います。このような気づかいがなければ、判定ができないために、知らない間に受給対象から漏れてしまう世帯が生まれてしまうからです。

 

所得税の申告納税方式は、報酬を受け取る都度、徴収されていて、自分で計算する方法も広く公開されているので理解が進んでいると思いますが、住民税の賦課課税方式は、国民健康保険・介護保険、それから今回の給付のように生活には密着しているのに、なかなか仕組みの理解が進みません。

確かに、税金の申告はやっかいだと、根強い抵抗感があるかも知れませんが、毎年、必ずやることと強く意識したいものだと思います。