系列位置効果の実験があります。

それは、実験者に対して、

10個の単語を1つずつ続けて提示をします。

それらを覚えてもらって、その後思い出すという実験です。


その思い出し方を2パターン使って2つを比べます。


1、直後再生

2、遅延再生


直後再生とは、

単語を10個言い終わってすぐに再生をはじめてもらうことで、

遅延再生とは、

単語を言い終わったあと、30秒程度間を置いて、

その30秒の間に計算等違うことをしてもらってから、

再生をはじめてもらうことです。


これだけ聞いて、予測はつきますね。

直後再生のほうが成績がいいだろう、

別のことをして時間がたってからの方が成績はよくないだろう、と。

その予測は当っています。


実験の結果、

・直後再生では、

最初と最後に提示をした単語ほどよく思い出せました。

真ん中に提示した単語はあまり思い出せませんでした。

・遅延再生では、

最初に提示した単語はよく思い出せましたが、

最後に行くにつれて右肩下がりでした。


最初のほうの単語を覚えていることを、初頭効果、

最後のほうの単語を覚えていることを、新近効果、

と言います。


この新近効果こそが短期記憶です。

つまり、直後再生では覚えていたけれども、

時間をおいた遅延再生では覚えていませんでした。

それは、時間がたって忘却が生じたということです。

それが短期記憶です。

そしてその忘却の期間は、20秒とされています。


そして、初頭効果を中心としてそのあたりの記憶が、

長期記憶となったわけです。

つまり、最初に覚えたものほど記憶が良いということが分かりました。


ただし、以上の実験は、

リハーサルを一切せず、一度単語を提示されたのみでの実験です。

30秒間の間に、何を提示されたか思い返すという作業をさせないために、

計算など全く違うことをさせているわけです。

なので、たいていの日常の記憶作業では、

何度も同じ単語を繰り返したり、意味理解やごろ合わせなど、

さまざまな方法で記憶を工夫していますよね。


そういうのがなく、一度聞いただけの記憶についての以上の実験では、

学習をするか、長期記憶化をしないと、

最後に覚えたものほど、時間がたつにつれて、

それを思い出す確率は減少していくことが分かっています。