　ピップシリーズ前日譚読了。「自由研究には向かない殺人」の正確な前日談。

　三部作の後に書かれた中編。160頁しかない。良く名三部作にオマケ的中編や短編集が出て来る事がある。たとえば「さよならシリアルキラー」の前日談短編集「運のいい日」、「その女アレックス」三部作の「わが母なるロージー」どちらも200頁程の薄い本だ。

　各三部作を読んだ後、それらは何故か積読本になっている。？私（わ）の変な癖？だ。今回も懸念したが無事読め終えた。

　主人公はピップのまま、まだ自由研究の題材も決まらず焦っている中、友人のコナー（第二部の主要メンバー）からミステリーゲームの招待を受ける。設定は孤島の屋敷に住む富豪からの74回目の誕生会への招待となっている。ピップへの配役はシーリア・ボーンなる富豪の姪だが孤児で富豪から一切資金援助を受けられない境遇だと言う。他に、一族の者や召使として当時まだ仲の良い仲間達アンソニー（アント）・ロウ、ザック・チェン、ローレン・ギブソン、カーラ・ワード、コナー・レイノルズ、ジェイミー・レイノルズ。ジェイミーがゲームの創案者で司会進行役だ。早々に屋形の富豪がナイフで刺されて死亡している設定。各自のブックレットに従って行動し犯人と動機を当てるゲームだ。アンドレア（アンディ）・ベル失踪事件の解決前なのでサリル（サル）・シン犯人説がまかり通ってる状態で話題に出る。ゲームは自分が犯にかもしれないと怯え？ながら、最初乗り気で無かったピップがのめり込んで行くピップらしい展開で進む。そして最後のカードを手にして組み立てたピップの推理が・・・。

　実際の事件は起こらないが見事な伏線の張り方でピップがサリル（サル）・シンの冤罪を晴らす自由研究に取り組んだ導火線が確り出来ていてそこがミステリ―にもなってる凝った造りだ。時系列に読んでも問題にならないし執筆順で3部作の後に読んでも楽しめる独立した中編だが。三部作読了後に読んだ方が味がある。このミス2025年版にランキングしてるかなぁ～？

受験生は謎解きに向かない