　予定通りクリスチアナ・ブランドの短編集読了。１６篇収録の短編集。先に書いた「有栖川有栖の密室大図鑑」に紹介されてる「ジェミニー・クリケット事件」が収録されてるってんで購入。近場の書店には無く、Amazonで購入。

結構分厚い。知る人ぞ知る作家らしいが、初見で初読。第一話「事件のあとに」はある演劇一座の嫌われ女優がオセロの舞台宜しく控室で殺される。警察は一座の座長で女優の夫が犯人と逮捕するが裁判で無罪となる。逮捕した警官が自慢話でその事件を語るが聞いていたコックリン老刑事が真相を看破するって展開。コックリン刑事はブランド作の主要探偵らしい。第二話「血兄弟」は倒叙ミステリーで双子の交通事故殺人をコックリン刑事が解決する。双子の確執が・・・。第三話「婚姻飛翔」は結婚披露宴で嫌われ者の資産家花婿が毒殺される。容疑者は居るが毒を入れるチャンスと動機が・・・これもコックリン刑事が解決。第四話「カップの中の毒」も倒叙ミステリーもので犯人の医者の妻の心情変化が恐ろしい。刑事コロンボなみのとどめの一撃的セリフがスカッと解決コックリン刑事。第五話「ジェミニー・クリケット事件」アメリカ版とイギリス版があるらしく本作はイギリス版らしい、大分違いもあって好みは両派に別れるらしい。気になる。どうやら同じ創元社の「短編ミステリの二百年6」に両方収録されてるらしいとさっき検索して知った。興味がある。老人と青年の会話で成り立つ本作。青年が事件の語り部で老人が探偵って図式。慈善家の弁護士が四階の事務所で殺された。ドアは厳重に鍵、閂がされており、窓は割られているが２フィートほどの穴しか空いて居ない。部屋の中は書類が燃やされ煙幕状態。向かいの警察署に弁護士から「長い腕が」とか「消えて行く」などの不可解な電話があって刑事たちが向かいの4階の事務所に殺到！降りて来たものは居ない。事務所の前では弁護士の養子がドアを叩いている。全員でドアをぶち破ろうとしてる時に中からガラスの割れる音が！やっと部屋に躍り込んだ刑事たちは絞殺されナイフを刺された弁護士の死体を発見する。まだ血は流れており刺されて間もないと見えるが他に人は居ない！その後離れた所の電話ボックスから「長い腕が」とか「消えて行く」などの不可解な電話が巡視中の警官から署にかかって来る。捜査したら近くの廃工場の浴槽から警官の刺殺体が発見される。使われたナイフは弁護士事務所にあったもので弁護士を刺したものと同一とみられた・・・青年の語りから老人が容疑者とトリックを推理する。が、二転三転推理しては却下と繰り返すが！最後に・・・。古典的傑作と言える訳だと納得の作だった。アッパレ！第六話「スケープゴート」衆人環境で奇術師の助手が狙撃されて死亡。建設中の病棟の最上階にライフルと三脚を刑事達が発見するが、事件後誰も逃げた犯人を観ていない。階段上ってる刑事らも誰とも遭遇してない！謎。コナンか金田一で読んだ様なア～なトリックだった。ラストはいやミスだ。以下短い短編が続く「もう山査子摘みもおしまい」「スコットランドの姪」「ジャケット」「メリーゴーラウンド」「目撃」「バルコニーからの眺め」「この家に祝福あれ」「ごくふつうの男」「囁き」「神の御業」とどれもいやミス系で元祖いやミス作家じゃ無いかと思ってしまう。倒叙系も多く、犯人や関係者の屈折っぷりが凄まじい。クリスチアナ・ブランドは1940年代から80年代まで書いてて多作じゃ無いが一時期は殆どのミステリーが翻訳されてたらしい。今じゃこの短編集と後一冊ぐらいの長編が手に入るだけの様だ。古本屋巡りせねば。その前に新刊で買える一冊をAmazonでポチッとな。やっぱり古典ミステリーは楽しいなぁ～。

招かれざる客たちのビュッフェ