コロナが心配で、なかなか行けなかった祖父母の元へ
たった車で30分の距離だけど、この仕事をしているから
万が一私がコロナに感染していたら…
89歳の祖父母を死なしてしまうかもしれないから…
久しぶりに会いに行けた
お気に入りのほうじ茶をお土産に
祖母は認知症がかなり進んでいる
祖父母は、昔は仕事を掛け持ちし、定年後も2人で内職をし、内職の合間に祖母は編み物。祖父は家中の掃除をしてまわる
今は祖母の後ろをついてまわる祖父
そんな2人
祖母は自分が認知症であることもよく分かっていない
「内職してたのに、なくなったんよ」
と、今日は寂しそうに言った
なくなった理由ももちろん分かっていない
「えー?仕事あるよ?私の膝掛け編んでよ。車で運転するとき寒くてさー。仕事としてお願いしているんだよ?このくらいの金額でどうだろう」
「お金はいらんいらん」
「それじゃぁ、働いた気にならないでしょ。完成するまでは元気でいないといけない気分になるでしょ」
「何色の膝掛けがいい?何色にしようか?」
滞在数十分の間に、何度も仕事の話を忘れて、何度も仕事を依頼した
何度も何色にするか話をした
そのたびに嬉しそうな顔をした
祖父が毛糸を用意するらしい
「完成するまで、元気でいてもらわいといけないってことだからね。これは仕事なんだから」
帰る間際に伝えた
祖父が何年先も何度も毛糸を買い足して
祖母が編んで
完成するのが10年先、20年先になればいいのに