『鬼龍院花子の生涯』
1982年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督 五社英雄
原作 宮尾登美子
脚本 萬田宏治
撮影 森田富士郎
音楽 菅野光亮
出演 仲代達矢/岩下志麻/夏目雅子/中村晃子/新藤恵美/高杉かほり/夏木マリ/佳那晃子/山本圭/室田日出男/夏木勲/綿引洪/成田三樹夫/小沢栄太郎/内田良平/梅宮辰夫/仙道敦子
《解説》
触れると熱い、愛の女たち
名匠・五社英雄監督が、直木賞作家・宮尾登美子の同名小説を映画化、大正末期から昭和にかけての土佐を舞台に、侠客・鬼龍院政五郎と彼を取り巻く女たちの凄まじくも絢爛な愛憎劇を描く
1985年に若くして世を去った名女優・夏目雅子が82年に主演し、ヒロインを熱演、女優として成長を見せたエポックメーキング作となった、劇場に掲げられたポスターのエロティシズムは今も忘れがたい
《物語》
昭和十五年・夏、京都・橋本遊郭で花子の消息を知り松恵が訪ねたとき、花子はすでに帰らぬ人となっていた、男関係は派手で死後数時間、松恵は涙を流した
大正七年・秋、松恵は土佐の大親分の鬼龍院政五郎、通称鬼政の養女となった、松恵は鬼政の身の回りの世話を命じられる
ある日、鬼政は松恵や女たちや子分を連れて土佐名物の闘犬を見に行った、そこで闘犬の横綱を持つ赤岡の顔役の末長の犬が漁師の兼松の犬に負けた
末長は因縁を付けてひと悶着起こるが、そこで鬼政が仲裁に入ってその場は収まったものの、末長は兼松の犬を殺す卑劣な手段に出た
兼松は鬼政に力を貸してほしいと頼み込まれ、末長の家に出向いたが末長は姿を隠し、末長の女房の秋尾が裸になって収めようとするが、鬼政は末長の料亭からつるという娘をさらった
これによって鬼政と末長は対立するが大財閥の須田が仲裁に入り、一応の決着は付いたがそれ以来、鬼政と末長は何かにつけて対立することとなる
そしてつるは鬼政の妾となり、正妻の歌、妾の牡丹と笑若と対立しながら翌年に女児を出産、花子と名付けられ鬼政はその子を溺愛した、松恵は花子の面倒を見ながら勉強をし、女学校へ入学
昭和九年、土佐電鉄はストライキの嵐に見舞われ、筆頭株主である須田は鬼政にスト潰しを頼んだ、そこで鬼政はストの支援に来ていた高校教師の田辺恭介を叩きのめす
しかしその田辺の心意気に打たれて意気投合、侠客とは弱気を助ける者と考え、そして田辺の思想に感化された須田から絶縁されてしまう
だが鬼政は十六になった花子を田辺の嫁にし、一家を継がそうとするが、警官を殴った罪で刑務所に入れられた田辺の面会に松恵が訪れた、その美しさと小学校の教師をしている凛々しさに惹かれる
やがて出所した田辺は鬼政に松恵との結婚を申し出るが、鬼政は怒り許さず田辺に小指を切り落とさせた、数日後、酔った鬼政に襲い掛かられた松恵は命を賭けて抵抗して鬼政に諦めさせる、松恵は転勤を申し出て家を出た
花子と神戸・山根組との縁談が整い、その席で歌が倒れた、腸チフスだった、戻った松恵の必死の看病もむなしく歌は息を引き取った
昭和十二年・冬、大阪、松恵は再び家を出て労働運動をする田辺と一緒に生活していたが花子の婚約者がヤクザ同士のケンカで殺されたのを機に田辺と共に鬼龍院家に戻った
ある祭りの夜に一人で家を抜け出した花子は末長に拉致され、助けようとした田辺は殺され、子分を殺された鬼政は末長に殴り込みをかけたが
それから二年後、鬼政は獄中で死に、それから数年後にお父さん助けての手紙が届き、松恵が花子の消息を知って大阪の娼家に花子を訪ねたが、花子も帰らぬ人となっていた
《感想》
仲代達矢の追悼記念レビューです、久しぶりに観ましたがやはり仲代達矢の迫力は素晴らしい、それに声が良いです、当時としては体格のいい仲代達矢の侠客はハマってます
本作は宮尾登美子の長編小説を五社英雄監督が映像化、鬼龍院政五郎の生涯を描いています、特に前半はこの鬼政が主人公となって、とにかく傍若無人です
それでいて土佐では地域の信頼の厚い侠客なんです、おいらはこの侠客ってのがよくわからなくてヤクザなのかそうでないのか、弱きを助け強きをくじくみたいなセリフがありますけど
宮尾登美子は父親の残した14冊の日記などを参考にして取材をして創作、鬼政のモデルになった人は宮尾登美子の父親にお金を借りに来た人で、当時は存命で取材に協力してくれ、聞いたままの実話だそうです
当初は弟だけが養子になる予定でしたが鬼政に気に入られたために鬼龍院家にもらわれてしまいます、弟はその後に逃げて家に戻るも松恵は鬼龍院家に残ります、松恵を演じるのは仙道敦子
鬼政の妻の歌を演じるのは岩下志麻で、いつもながらこの迫力は安定しています、家で働く女中や手下たちに睨みをきかしています、子供ができないからか妾を向かいの家に住むのを公認しています
鬼政の妾の牡丹を演じるのは中村晃子で、妾の笑若を演じるのは新藤恵美、松恵を実の妹のように可愛がっています、松恵が初潮を迎えたときも親身になってます
鬼政と敵対する末長を演じるのは内田良平で卑劣で執念深い性格で鬼政に対してずっと恨みつらみです、その妻の秋尾を演じるのが夏木マリで、こちらが気性が荒くて、それでいて色目を使うんです
末長の料亭で働いていたつるを演じるのは佳那晃子で、たまたま鬼政とすれ違いざまにさらわれてそのまま妾となります、しかも鬼政の第一子を産みます、それが花子なんです
花子を演じるのは高杉かほりで、鬼政に溺愛されて甘やかされて育ったために16歳になる頃には自己中心的な性格で、花子のために鬼龍院家は潰れてしまったと言っても過言ではないはず
そしてそして約一時間経過して登場する大人になった松恵を演じるのは夏目雅子、鬼政とは血が繋がっていないためか小学校の教師となり住みよい世の中にするために活動しています
しかし夫の山本圭演じるの田辺が殺されて実家に遺骨を貰いに行った時に田辺の親族に蔑まれて、「土佐の侠客、鬼龍院政五郎の娘、なめたらいかんぜよ!」のセリフは最高です、原作にはないセリフです
鬼政と末長を若い頃から目を掛けていた大財閥の須田を演じるのは丹波哲郎で、鬼政も恐れる存在なのです、もちろん逆らえません、土佐電鉄のスト潰しを失敗して土下座
この企画は当初は梶芽衣子が自分を主役にと東映に持ち込んだそうですが、東映は梶芽衣子に主人公以外なら出演を承諾するも梶芽衣子は裏切られた感があったでしょうね、大竹しのぶを主役に交渉するも大竹しのぶは断り、新人だった夏目雅子が売り込んできたそうです
その頃は落ちぶれていた五社英雄にもう一度監督をさせたのは五社英雄は女優を脱がすのに長けていたからだそうです、それによって五社英雄は最高傑作を撮ることができたと
夏目雅子も当初は代役が脱ぐ予定でしたが、先輩女優が脱ぐなら自分も脱ぐと事務所を説得させてヌードと激しい絡みを撮影したそうです
お父さん、やめて!もうこれっきりにして… それが『鬼龍院花子の生涯』です。
昭和の名優が次々と亡くなっていきます、しかしこうして軌跡は残りますからね。
更に過激な:続・裏237号室の『鬼龍院花子の生涯』のレビューはこちらです。
























