続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝 -36ページ目

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『ラストエンペラー』

 

 

 

 

 

1987年 イタリア・イギリス・中国

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ベルナルド・ベルトルッチ

 

脚本 マーク・ペブロー/エンツォ・ウンガリ

 

撮影 ビットリオ・ストラーロ

 

音楽 坂本龍一/デビッド・バーン/スー・ソン

 

 

 

出演 ジョン・ローン/ジョアン・チェン/ピーター・オトゥール/坂本龍一/リチャード・ブゥ/ワン・タオ/イン・ルオチェン/ビクター・ウォン/デニス・ダン/マギー・ハン/リック・ヤン/ウー・ジュンメイ/ケイリー・ヒロユキ・タガワ/イェード・ゴー/ヴィヴィアン・ウー

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

清朝最後の皇帝・溥儀の人生を壮大なスケールで描いた歴史超大作

 

「ラストタンゴ・イン・パリ」「1900年」で知られるイタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督が清朝最後の皇帝・溥儀の生涯を映画化し、1988年・第60回アカデミー賞で作品賞を始めとする9部門に輝いた歴史大作

 

「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のジョン・ローンが成長した溥儀を演じ、「アラビアのロレンス」などの名優ピーター・オトゥールが英国人教師役で出演、オリジナル全長版は218分

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

1950年、第二次世界大戦終結により、ハルビン駅では次々と中国人戦犯たちが送り込まれていった、800人を越える人々の中には清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の姿もあった、彼は人目を避けて洗面所に入り手首を切る、そこで様々な過去が彼の脳裏をよぎった

 

 

1908年・北京、幼き溥儀は母と離れ離れになり、乳母アーモと共に紫禁城に連れていかれ、そこで西太后と出会った、皇帝が亡くなったことを聞かされた溥儀は西太后から新たな王朝の君主になることを命じられる

 

 

紫禁城での生活は外に出ることは禁じられ、心の支えはアーモだけ、そして西太后が崩御され、即位式の日に家臣たちが新皇帝に拝礼

 

 

実弟の溥傑と再会、紫禁城を出ることが認められない溥儀にとって初めて出会った同世代の子供だ、ある日、兄弟げんかとなった時に溥傑は兄上は皇帝ではないと

 

既に外には洋服を着た皇帝がいると話す、大総統の袁世凱が新たな皇帝として君臨している、教育係からは紫禁城の外では皇帝ではないが紫禁城の中では皇帝であると

 

 

そして用済みとなったアーモは太妃たちによって追放されてしまう、去って行くアーモを追いかける溥儀だったが見失い、溥儀にとってアーモは乳母以上の存在だった

 

共和国政府も数年で旧朝廷のように腐敗、野心を持つ将軍たちと官僚の手に落ち、軍閥の時代が幕を開けた、1919年・レジナルド・ジョンストンが家庭教師として雇われた、彼からは数学などと西洋文化を学ぶ

 

 

多くの人々が弾圧によって殺されていることを知り、外の様子を見れないことに憤りを感じる、やがて15歳になった溥儀は17歳の婉容を皇后に、12歳の文繡を第二妃に迎えた

 

 

1924年、北京政変によるクーデターで溥儀は紫禁城を追われるが、ジョンストンがイギリス大使館に保護を求めるが国際問題になることを恐れて受け入れず、手を差し伸べたのは大日本帝国だった

 

 

戦犯管理センターでは罪の告白が続き、溥儀は日本の甘粕正彦大尉との日々を思い出していた

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀の生涯を描いた作品で、監督は「ラストタンゴ・イン・パリ」のベルナルド・ベルトルッチの歴史作品です

 

 

溥儀の自伝である「わが半生」を原作として、清朝皇帝指名と崩御を描く1908年から文化大革命のさなかに一市民として亡くなる1967年までを描いています

 

そもそも溥儀とは何者で何故2歳にして清朝第12第皇帝に即位したのか、清の皇族として生まれ父親は西太后の信任を受けており即位するも辛亥革命により退位

 

 

張勲復辟によって清朝皇帝に復位するも12日後に再び退位、その後も紫禁城に住むことを許されるものの、北京政変で紫禁城を追われてしまいます

 

 

青年時代以降の溥儀を演じるのが「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のジョン・ローンで、彼は香港生まれの中国系アメリカ人です、オープニングから戦犯者として集められた大勢の一人で洗面所で自殺を図ります

 

 

第二次世界大戦終結によって満州国が崩壊と内戦の終結で5年間ソビエト連邦で抑留、それを解かれて中華人民共和国に送還された戦犯のひとりなんです

 

その人が紀元前以来から続く中国王朝の最後の皇帝なんです、そんなすごい人が最後は一市民として最期を迎えるなんて当時の時代の移り変わりは激しかったのでしょうね

 

溥儀を導く家庭教師レジナルド・ジョンストンを演じるのは「カリギュラ」のピーター・オトゥールで、彼の存在は溥儀を西洋文化に触れさせて知識を広げてくれます

 

 

とにかく幼少期から青年期まで紫禁城から出ることも許されず、周りには大人しかおらず、その全員が服従しているんです、お付きの人はご機嫌取りに奔走して墨汁を飲んだり

 

 

15歳になった溥儀は17歳の婉容を皇妃とし、12歳の文繡を第二皇妃としました、これぐらいの年齢で結婚するのはありがちですね

 

婉容を演じるのはジョアン・チェンで、北京政変で紫禁城を退去させられると不仲となり、護衛のためにやって来たマギー・ハン演じる川島芳子にアヘンを勧められて同性愛に溺れます

 

 

文繡を演じるのはヴィヴィアン・ウーで、社会的に妻ではなく愛人という立場に孤独を感じて離婚を望み、蒋介石が上海制圧のニュースの時に日本人の甘粕正彦が日本公使館に誘う混乱の中で出て行ってしまいます

 

甘粕正彦を演じるのは「戦場のメリークリスマス」の坂本龍一で、本作で日本人初のアカデミー賞作曲賞を受賞し、国内外での映画音楽家としての地位を築きました

 

 

1934年には溥儀は満州国皇帝となりますが、それは日本の傀儡でしかないと言われています、その後に日本に行って同世代の昭和天皇と会うシーンも撮影されていたようですがカットされたようです

 

 

観ていてしんどかったのは、戦犯たちに対して歴史映画として日本軍が上海で無差別爆撃や南京での虐殺、真珠湾攻撃、細菌兵器にための人体実験などですね

 

1945年8月15日に日本は敗戦し、満州国は滅亡、溥儀は皇帝を退位、日本に亡命しようとするもソ連軍に捕らえられて、その後に戦犯として中国に送還となったのですが、1959年に特赦で釈放となります

 

 

何が凄いって故宮で世界初のロケが行われたことです、観光客が1日5万人が訪れる故宮を中国政府が全面協力で数週間貸し切り撮影が行われ、映画史に残るシーンとなりました

 

世界中の映画賞を総なめにしたほか、アメリカアカデミー賞に於いてノミネートされた9部門すべてを制覇するという快挙を30年ぶりに成し遂げた

 

 

 

 

 

 

清朝最後の皇帝の波乱に満ちた生涯を、世界初となる紫禁城ロケとともに壮大なスケールで綴った空前絶後の歴史大作 それが『ラストエンペラー』です。

 

 

 

 

 

西太后の墓が盗掘されたり、皇帝が最期は一市民として亡くなるのがなんだかショックでしたね。