『花芯』
2016年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督 安藤尋
原作 瀬戸内寂聴
脚本 黒沢久子
撮影 鈴木一博
出演 村川絵梨/林遣都/安藤政信/藤本泉/落合モトキ/奥野瑛太/毬谷友子
《解説》
覗いちゃいけない深闇を覗いてしまったの
瀬戸内寂聴が1957年、瀬戸内晴美時代に発表した同名小説を映画化、「海を感じる時」の安藤尋が監督、村川絵梨が主演を務め、傷つきながらも女としての性愛を貫くヒロインの姿を描いた恋愛ドラマ
瀬戸内寂聴が子宮作家と批判を浴びた問題作、清純派として知られる村川絵梨が、瀬戸内寂聴本人がモチーフとされるヒロイン・園子を演じ、大胆なラブシーンを披露する
《物語》
昭和18年、神社の裏で愛を交わす男女、女のセックスの期待とは裏腹に男は、君を純潔のままにしておくと言い、何もせずに男は去り戦争へ、女の名は園子
昭和21年、園子には親の決めた許婚がいた、彼の名は雨宮清彦、結婚初夜を迎えるが雨宮のぎこちない愛撫で始まるも園子は雨宮の手を取り股間へと導くも経験のない雨宮は暴発
その後のセックスは成功するも園子を感じさせるには至らない、それでも園子は妊娠し男の子を出産した、出産後のセックスで園子は初めて快感を味わう
雨宮の妻をしているつもりだが妹の蓉子には、いつまでこのお芝居が続くの?お姉ちゃんの本性を知っている、幸せそうな奥さんのフリをしてるけど本当は満足していないと言われてしまう
たしかに園子は雨宮を愛してはいない、結婚にロマネスクなことはなく、日常の事務的な取り決めだと思っていると蓉子に言った
昭和25年、京都へと転勤となる雨宮、これは出世への足掛かりだが園子は雨宮に関心がない、そんな姉に腹が立つ蓉子は雨宮のことが好きで園子に可哀想と
京都へと移り住んだ先で雨宮の上司の越智と出会った園子、ハンサムでその佇まいはスマートで自由恋愛を謳う越智に惹かれていく園子
生まれて初めての恋に戸惑いつつも園子は自身の子宮の叫びが大きくなり抑えられなくなり、雨宮に越智が好きだと告白し、東京に戻っても越智との逢瀬を重ねて肉体の悦びに目覚めていく
《感想》
瀬戸内寂聴さんが逝去しました、99歳でした、いつまでも元気なイメージがありましたが残念です、本作は発表後は酷評されたある意味伝説的な作品です
本作は最低な女の物語だと思いました、でもこれを性に自由なカッコいい女だと感じる人もいるでしょうね、両親に何事にも逆らってきた園子ですが結婚だけはすんなりと了承するんです、それは結婚なんて事務的な事だと
でも結婚したなら夫を愛する努力すればいいのにセックスの時でもまるで人形のようです、まあ雨宮が経験のない童貞だったからセックスも面では期待外れだったのかもね
そのあたりが夫を馬鹿にしてるような感じがしてるんです、雨宮はとても良い夫で結婚相手としては申し分ないはずです、妹の蓉子が惹かれるのも分かりますよ
この園子を演じるのが村川絵梨ですごく雰囲気がある女性です、フェロモンを醸し出していてエロいです、その見た目の通り性に奔放な女性なんです
その夫の雨宮を演じるのが林遣都で園子の夫でありながら越智と不倫する園子を愛していて嫉妬に苦しむんです、童貞だった事が園子を不倫に走らせたのかと
妹の蓉子を演じるのが藤本泉で奔放な園子と違ってその時代の女性って感じで男に尽くして添遂げるような印象でしたね、姉の夫の雨宮に惹かれる義妹なのです
園子と不倫をする越智を演じるのが安藤政信で背も高く男前で自由恋愛を信条としているようで、戦後間もない頃は恋愛も自由ではなかったという思いからです
そんな越智に惹かれて園子は愛する男以外とのセックスでも快楽は得られるのか近所の美大生に迫られて試すんです、もちろん感じることを確認して越智との不倫に走ります
越智は20歳も年上の大家の女に囲われていてセックスには長けていたのでしょう、園子は越智とのセックスに溺れてしまい、悦楽の世界へ、越智には「きみという女は体中のホックが外れている感じだ」と
そんな生活はもちろん長くは続きません、越智とも別れて母が亡くなったときに実家へと久しぶりに戻ってみると息子には知らない人扱いで、雨宮と蓉子は夫婦のようで自分の居場所なんてないのです、自由を生きる女はそのままどこかへと行ってしまいます
発表当時「子宮作家」と批判を浴びた瀬戸内寂聴の鮮烈な恋愛文学、初の映画化 それが『花芯』です。
女は子宮で考えるとはよく言ったもんです、園子は子宮に従うようでしたね、瀬戸内寂聴さんもそうだったのでしょう、ある意味自分に正直なのでしょうね。
更に過激な裏237号室の『花芯』のレビューはこちらです。