らせん | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『らせん』

 

 

 

 

 

1998年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 飯田譲治

 

原作 鈴木光司

 

撮影 渡部眞

 

音楽 ラフィンカ

 

 

 

出演 佐藤浩市/中谷美紀/真田広之/鶴見辰吾/佐伯日菜子/松重豊/小木茂光/松嶋菜々子/伴大介/真鍋尚晃/安達直人/加倉井えり/菅原隆一/岡田智宏/上沖俊

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

あいつは死んだはずなのに

 

見ると死ぬという呪いのビデオの謎の真相に迫る、同時公開された「リング」の内容を受けた続編、監督は「NIGHT HEAD」の飯田譲治、鈴木光司の同名小説を自身が脚本

 

病院の解剖室に送られた男の死体の胃の内容物の中から、数字が羅列された紙切れが発見された、解剖を担当した医師・安藤満男はその男がかつての同級生だったことを知る、彼が到着する真理、それは人類進化の扉か、破滅への道なのか

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

監察医をしている安藤満男は2年前に息子の孝則を海で亡くしてしまってから人生に絶望、夢にうなされ、自殺願望に憑りつかれる日々を過ごしていた

 

 

そんなある日、同僚の宮下から電話があり、大学時代の友人だった高山竜司が死亡し、行政解剖をする事になった、結果は心筋梗塞と判断されたが安藤は竜司が起き上がり話し掛けてくる幻を見てしまう

 

 

竜司の胃の中から謎の暗号が記された小さな紙切れを回収、警察は竜司の死の後に元妻の玲子が息子の陽一と失踪、竜司の遺体を発見したのは恋人の高野舞

 

事件性がないのがおかしいくらいだと刑事は言い、安藤に舞に会うように言われて舞は竜司の死因はビデオテープを見た事によるものだと告げられる、それに竜司はこうして舞と安藤が出会う事も予感していた

 

 

その後、玲子と陽一が交通事故で死亡した知らせを聞く、現場には玲子の上司の吉野が壊れたビデオデッキとビデオテープが助手席にある事を示す

 

吉野が安藤を訪ねて来た、玲子の遺した見ると死ぬ呪いのビデオテープの記録を記した手帳とダビングしたビデオテープを渡した、安藤は竜司の遺した暗号からキーワードを読み取り、ビデオテープを見た

 

 

そのビデオテープが本物の呪いのビデオだと実感した安藤はその場でビデオテープを破棄するも貞子が目の前に現れた、安藤は竜司がビデオテープをこの世から消滅させて欲しいとの思いを感じてその代わりに死をもたらしてくれると考えた

 

 

安藤は吉野からマスターテープを受け取り、その直後にビデオテープを見ていない吉野は謎の死を遂げた、マスターテープを破棄した安藤はこれで呪いを終わらせたと思い、犠牲者は自分で最後だと

 

 

しかし死の恐怖に怯える安藤は慰める舞と一夜を共にする、やがて安藤は一週間が経ったが死なず、そして舞が失踪して変死体となって発見され、しかも出産した形跡があった

 

 

数日後に舞が安藤の目の前に現れた、安藤が思った通り貞子は舞の体を利用して復活を遂げていたのだった

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

前作の「リング」とは打って変わって恐怖演出は比較的抑えられていてミステリーな要素が強い感じがします、ドラマ版「リング」の脚本を担当をした飯田譲治が監督をしています

 

 

監督は原作に忠実なところもあって、「リング」では語られなかった天然痘ウイルスの事にも触れていて、当時の伊豆の貸別荘は天然痘の療養所だったりするんです

 

本作の主人公の安藤満男を演じるのは佐藤浩市、高山竜司とは大学の同級生で監察医となった安藤の元に前作で死んだ竜司の遺体が運ばれて来て解剖となるんです

 

 

もう1人の主人公の高野舞を演じるのが中谷美紀で前作はチラッとしか出てなかったですが本作では竜司の死の謎を追うんです、竜司の遺体の第一発見者という事で警察にも強く事情聴取を受けるんです

 

 

竜司の死と玲子が陽一を連れての失踪に玲子の父親の死で死亡したのは全員心筋梗塞なんて警察は信じられないで事件性を疑うのですが、証拠らしい証拠はありません

 

そこで行きついたのがウイルス説なんです、それが天然痘に似ていて、しかし天然痘は大昔に絶滅している、しかし貞子の遺体が見つかった伊豆の貸別荘は以前に結核と天然痘の療養所だったんです、貞子を演じるのは佐伯日菜子

 

 

貞子のモデルはいないのですが、その母親の山村志津子と父親の伊熊平八郎にはモデルがいるんです、山村志津子は明治の終わりに千里眼の持ち主とメディアに取り上げられた御船千鶴子と長尾郁子、伊熊平八郎は彼女らを研究していた福来友吉博士と今村新吾博士なんです

 

舞が竜司の死を追うのと、安藤が竜司の死によって暗号を受け取るのが交錯するんです、舞がビデオテープのせいで死んだと言うも安藤は信じられません

 

 

しかし実際にビデオテープを見るとそれは信じざるを得ないんです、残るビデオテープを破壊してそれが竜司のメッセージだと考えて、自殺願望があるのに死に切れない自分を確実に死なせてくれるビデオテープ

 

しかし死の恐怖は大きくて舞に慰めてもらって一夜を共にします、その直後から舞は安藤の前から姿を消すんです、最後の時に一緒にいて欲しい安藤は自暴自棄になります

 

 

そして目の前に舞が現れるんです、それが今までの地味な舞ではなくて派手な格好で妖艶な舞なんです、それを安藤は舞ではなくて貞子だと感じるんです、舞は変死体として発見されて、しかも出産した形跡があるんです

 

安藤が死ななかったのは舞とセックスをして舞の中に貞子を宿らしたからだったんです、貞子はビデオテープだけでなく文章でも死んでしまうようになり、それに協力しろと迫ります

 

その見返りに死んだ息子を復活させてやるとね、貞子は竜司と安藤の息子を復活させるんです、安藤は息子を手に入れる為に人類を売ったんです、それほど愛おしい存在だったんですね、ちなみに竜司は息子を復活させるなんて残酷な事は出来ないと

 

 

なんだか色々と考えさせられるラストでしたが、ホラー映画の形ではありますが怖さより、この先はどうなるのか謎が残りました

 

 

 

 

 

その謎は「リング」ではじまる それが『らせん』です。

 

 

 

 

 

ちなみに本作は同時上映の続編でしたが、1年後にパラレルワールド的な続編の「リング2」 が公開されました