ニュー・シネマ・パラダイス | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『ニュー・シネマ・パラダイス』

 

 

 

 

 

1988年 イタリア・フランス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ

 

撮影 ブラスコ・ジュラート

 

音楽 エンニオ・モリコーネ/アンドレア・モリコーネ

 

 

 

出演 サルヴァトーレ・カシオ/マルコ・レオナルディ/ジャック・ペラン/フィリップ・ノワレ/アニェーゼ・ナーノ/アントネラ・アッティーリ/プペラ・マッジオ/レオポルド・トリエステ/エンツォ・カナヴェイル/レオ・グロッタ/イサ・ダニエリ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

映画から夢が広がった、大切な僕の宝物

 

イタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレによる、映画史に残る至高の名作、イタリアのシチリアを舞台に、少年と映写技師が映画を通して心を通わせていく様を、感動的な音楽と繊細な人物描写で描き出す

 

映画に魅了された少年トト役を、サルヴァトーレ・カシオが愛くるしい演技で演じきった、年齢を超えた友情や少年時代の夢など、世代や時代を超えた人々に愛される物語に、映画の魔法という名の感動が存分に詰まっている

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

ローマ、深夜に帰宅した映画監督のサルヴァトーレは留守中に母から電話があった事を恋人から聞かされた、それは30年間1度も連絡する事もなかったアルフレードの死だった

 

 

2人の出会いははるか昔、まだサルヴァトーレがトトと呼ばれて神父の手伝いをしていた幼い頃、父は戦争でロシアに行き、母マリアと赤ん坊の妹と3人暮らし

 

 

トトは映画に夢中で人々の数少ない娯楽として教会を兼用した小さな映画館パラダイス座、映画には検閲があり、それをチェックするのは神父の役目、キスシーンなどは神父がベルを鳴らして映写技師のアルフレードがフィルムをカットする

 

 

映写室に入るトトにフィルムは燃えやすいので来るなと言うアルフレードだったが2人はいつしか不思議な友情が芽生えていた、牛乳を買う金で映画を観て母に怒られるトトを庇うアルフレード

 

 

カットしたフィルムを欲しがるトトにアルフレードはフィルムはやるが俺が管理すると言ってトトを納得させて追い出す、トトは映写の仕方を教えて欲しいと言うトトにいつも独りぼっちの辛い仕事だと断るがトトはいつの間にか見て覚えてしまい、アルフレードは全てをトトに伝授

 

 

村で唯一の映画館は大盛況で映画館に入れない人たちは騒いでいた、それを鎮めるためにアルフレードは屋外にもフィルムを映した、喜ぶ人々だったが少し目を離した時に映写機から火が上がり、フィルムに引火して映画館は全焼、アルフレードは両目を失う大火傷を負った

 

 

その後、サッカーくじで大金を当てたナポリ人の協力によって映画館は新しくオープン、神父の検閲もなくなりキスシーンも復活、アルフレードはトトに映写室の全てを任せた

 

 

それから数年が経ち、トトは映写室にいた、そして運命的な恋をする、この村に引っ越して来た美少女エレナに一目惚れしたトトの想いは叶い、2人は一緒に過ごした

 

 

しかしエレナは大学進学となり、トトは徴兵されてしまい2人は村から離れた、トトが徴兵から村に戻った時にはエレナの行方は分からなくなっていた

 

アルフレードは久しぶりに会うトトに村を出るように言う、そして長い年月帰るな、人生は映画とは違う、もっと困難なものだローマに行け、アルフレードの愛ある言葉にトトは故郷を離れた

 

 

以来30年間彼は一切連絡もとらずに過ごした、30年ぶりの故郷により村は大きく変わり活気づいていた、あの映画館も数年前に閉館して廃墟となっていた

 

アルフレードの葬儀の後に彼の妻からサルヴァトーレに1本のフィルムが渡された、それはアルフレードにサルヴァトーレに渡すように言われていたフィルム、彼はローマに戻りそのフィルムを映写機で映した

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

これは映画小僧のおいらの胸に刺さりましたよ、第二次世界大戦直後のような時代に人々の娯楽は映画、それはどこの国も同じだったように思えます

 

 

映写技師のアルフレードを演じるのがフィリップ・ノワレで頑固なじじいで本当に良い味を出してます、怖いじじいなんですがもちろん優しさもあって、その優しさに映画は包まれてます

 

 

アルフレードに何度も怒られてるのに映写室にやってくる少年トトことサルヴァトーレを演じるのはサルヴァトーレ・カシオでめっちゃカワイイ男の子です、アルフレードも根負けしてトトを映写室に入れてやります

 

 

アルフレードは戦争もあって小学校を卒業していなくて卒業試験を受けるんです、それもトトと一緒に(笑)、当時は戦争等で勉強をする暇がなかった時代だったようです

 

 

そんな感じで2人は年の離れた友達のような関係になります、もちろん映写技師としてはアルフレードが師匠なんです、でもトトは勝手に覚えてしまってアルフレードは細かい指示だけ

 

当時のフィルムは燃えやすく危険物扱いだったそうで、本作でもフィルムが燃えてアルフレードが大ケガを負ってしまうんです、他に映写技師もいなくて青年になったサルヴァトーレが映写技師となるんです

 

ここまでの映画館は教会と隣接していて神父が検閲をしているんです、ヌードはもちろんキスシーンもダメでカットされてしまいます、でも火事で燃えた後はサッカーくじを当てたナポリ人が映画館を再建してキスシーンも観れるようになるんです

 

 

映画だけの話ではなくてサルヴァトーレの初恋の話もあります、転校生のエレナとの恋です、エレナを演じるのはアニェーゼ・ナーノで綺麗な少女です

 

 

2人は恋に落ちるのですが映写技師の仕事のあるサルヴァトーレとなかなか会えません、お互いに会おうとするのですがすれ違ってしまい、エレナは進学、サルヴァトーレは徴兵で離れてしまうんです、青年のサルヴァトーレを演じるのはマルコ・レオナルディ

 

 

サルヴァトーレはアルフレードにこの村を出ろと、そして戻って来てはいけないとローマに送り出すんです、そして立派な映画監督となるんです、30年も村に帰らずにアルフレードの死を知らされるんです

 

中年のサルヴァトーレを演じるのはジャック・ペランで30年ぶりに村に戻ってくると映画館は既に閉館していて廃墟、映画館を壊す時には涙を流す人もいるくらいこの村の大切な物だったんです

 

 

懐かしい顔ぶれを見てサルヴァトーレはみんなに挨拶をするのですが立派な映画監督となったサルヴァトーレにはみんな敬語で年月を感じるんですね、あのトトがあんな立派になってとね

 

 

そしてアルフレードからの遺品を貰うんです、それは缶に入ったフィルム、ローマに戻ったサルヴァトーレが映写して観るのですが、これが映画史上最高のシーンと思っているほど感動のシーンなんです、この為にここまでの2時間があったのです

 

監督のジュゼッペ・トルナトーレは最高に仕事をしました、音楽のエンニオ・モリコーネの旋律も涙が出そうです、この作品も何回観たか分かりません

 

 

 

 

 

映画史上に燦然と輝く、感動映画の金字塔 それが『ニュー・シネマ・パラダイス』です。

 

 

 

 

 

今回は劇場公開版をレビューしました、170分を超えるディレクターズカット版はまたいつかレビュー出来たらいいな