『アンダー・ユア・ベッド』
2019年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 安里麻里
原作 大石圭
撮影 鎌苅洋一
音楽 Teji
出演 高良健吾/西川可奈子/安部賢一/三河悠冴/三宅亮輔
《解説》
覗いていたい、このままずっと
高良健吾が、恋した女性を監視するためベッドの下に潜り込む主人公を演じて主演を務め、「バイロケーション」「劇場版 零 ゼロ」の安里麻里のメガホンで大石圭の同名小説を映画化
「殺人鬼を飼う女」「甘い鞭」や「呪怨」ノベライズなど数々の話題作を世に送り出した大石圭の角川ホラー文庫処女作にして歪んだ愛を盲目的に描いた人気小説
ヒロインには「私は絶対許さない」での体当たり演技が話題になった西川可奈子、タブーにとらわれない先鋭的な作品を送り出す「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」も第2弾作品
《物語》
中学の卒業アルバムで撮影当日に欠席だった生徒が丸囲みした写真を載せてもらっている、そこに三井直人の写真はなかった、アルバムには興味はなかったがただアルバムが配布された日に三井の不在に気付いた者はいなかった、教師もクラスメイトも両親さえ、三井は小石の下の虫だ
三井は思い出した、無人のエレベーターに充満したユリを思わせる香水の香り、それを嗅いだ瞬間に彼女の記憶が甦った、19歳だった彼女とコーヒーを飲んだこと、大きな目、華奢なサンダル、透けて見えた下着の色まではっきりと思い出した、佐々木千尋を
大学生だった三井は存在感がなく孤独に生きてきた、そんなある日、大学の授業で指名されて困っている時に同級生の佐々木千尋にノートを見せてもらった、この時に生まれて初めて名前を呼んでもらえた
三井は勇気を出して千尋をカフェに誘い一緒にマンデリンコーヒーを飲んだ、そこで千尋はサークルの話しや好きなブランドの話しをしたが話題のない三井と沈黙の時間が長くなる
千尋が趣味はと聞いた事でグッピーを飼っていると言うと千尋は興味を示し三井はグッピーの事を饒舌に話し、後日に三井は千尋のアパートにグッピーと水槽を持って行った
30歳になった今も三井はグッピーを飼っていてマンデリンコーヒーを飲んでいる、千尋との想い出だけで生きていた、三井は興信所に依頼して千尋の行方を捜してもらった、千尋は大学卒業後に24歳で地方公務員の浜崎健太郎と結婚し、今は郊外の港町に住んでいる
三井は千尋を一目見て帰ろうと思っていたのだが、目の前で見た千尋の目には感情がなく、あの香水の香りもしなかった、何故彼女は変わり果ててしまったのかどうしても知りたかった
《感想》
なかなかの変態作品でしたね、ずっとベッドの下で女性の生活を垣間見ているような事ではなくてベッドの下にいるのはほんの少しだけでした、もちろんストーカー行為はしているのですけどね
仕事を辞めて彼女の家が見える場所に引っ越して熱帯魚店を開いて、その3階を住居にして望遠カメラで家を覗いています、部屋には彼女の写真を拡大コピーして貼ってあります
このストーカーの三井を演じるのが高良健吾でなかなかイケメンなので存在感がないとかあるのかな?幼いころには父親にも車に放置されて死ぬ寸前だったんです、父親は息子を忘れていたと
ずっとそんな存在だったのか、大学で千尋に名前を呼ばれるんです、それまで生まれてずっとクラスメイトに名前なんて呼ばれた事ないんです、なので名前を呼ばれて恋してしまうんです
その千尋を演じるのが西川可奈子、大学時代は笑顔があふれる素敵な女性だったんです、でも三井が11年ぶりに姿を見ると当時の面影がないんです、それを知りたくて三井はストーカーとなってしまいます
望遠カメラで覗いていると千尋の日常の姿や風呂上りの姿を見て写真を撮って自分を慰めているのですが、ある日に千尋が夫の浜崎に暴力を振るわれていて典型的なDVを受けていたんです
この暴力がなかなか凄くて西川可奈子はよく演じていましたね、全身は痣だらけで夜は浜崎に全裸にされて足の指を舐めさせられてるんです、三井は千尋が奴隷のように扱われていると
ある時に千尋が三井の店にやってくるんです、やはり千尋は三井を憶えていません、グッピーを飼いたいと言う千尋に家に行って水槽を設置しるのですが、その時に家の鍵を拝借して合鍵を作って盗聴器も仕掛けるんです、そこでベッドの下に入る事になるんです
三井は毎月ユリの花束を名前を伏せて贈るんです、千尋も最初は捨てていたのですが、家も変に感じて気のせいかと思うのですがやはり侵入者がいる事に気付くんです、そしてその侵入者が現れる事を願うようになるんです
その花束にあったカードを見た浜崎に見られて散々暴力を受けて風呂場で浴槽に頭を沈められて気を失ってしまうのですが、その時にベッドの下にいた三井は浜崎が寝た後に千尋を介抱するくらいしか出来ないんです
でもラストが近くなっていくと三井の妄想だったり、千尋もストレスやノイローゼによる薬漬けだったりすんです、でもラストは報われたような気がしましたね
監督と脚本は黒沢清監督や塩田明彦監督の助監督を経て監督デビューし、各方面からファンを獲得して称賛を集める安里麻里監督
30年存在しなかった男の孤独に蝕まれた愛は狂気となった それが『アンダー・ユア・ベッド』です。
こんなストーカーなんてあちこちに居そうな感じがします、女性はストーカーも怖いしDVも怖いですね
更に過激な裏237号室の『アンダー・ユア・ベッド』はこちらです。