ふ~
俺つぐみが買ってきてくれた煙草に
火を付け一呼吸した。
久々の煙草で頭がグラグラしてくる。
つぐみは無言のまま海を眺めている。
海はもういいだろ。少し歩かないか?
うん。
そういうと街道沿いを歩き出した。
ここにビルが建ったんだな
えっ。。。
いや、なんだか街が変わっているのに
違和感があるよ
そうだね。
そのやり取りが歩き出してからの
最初の会話だった。
街も変わる。人も変わる。そんな感じなんだね。
そうだな。何でも変化していくんだよな。
そういうと俺は無性に今迄の自分がどれだけ
人を傷付け、イヤな気思いをさせてきたのかと思った。
なぜ、今、そう思うのかは自分でも解らない。
でも、脳裏にはそれが浮かんだのではなく
放りこまれた様な感覚だった。
俺は思わず、街路樹を守っている金属製の
囲いに座り込んだ。
どうしたの!大丈夫!
あぁ。大丈夫だよ。煙草のせいだろ。
ごめん。私が無理に連れてきたから・・・
違う!
俺の強い口調に、つぐみは驚いている。
違うよ。つぐみのせいじゃない。
帰ろう。病院に・・・
大丈夫だよ。それに今日の帰りは一人で帰るんだ。
何で?
つぐみ?幸せになれると思うか?
見当違いの言葉に困惑しながらも、つぐみが答える。
何で?
これが未練がましい男の気持ちなんだと自分で
気付いた。
いや、ゴメン。幸せになれないと思って結婚する
奴はいないよな。
つぐみはジッと俺を見ている。
そう。可哀想な捨て猫でも見るように・・・
HIROTO・・・
街道には車が走り、微かに自分の名前が聞こえた・・・