結婚しようと思うの。


その言葉を聞い瞬間、自分に言われているのでは
ないようような感覚になっていた。



俺は何も言わず、ただただ海を眺めていた。


何とか言わないの?


そう、つぐみが問いかけてきた。


あっ。あ~ そうか。


これが俺にとっての唯一出てきた言葉。


それだけか。。。


それだけではない。言葉が見つからない。
男という生き物は未練たらしいと聞いたことがある。


俺は離れていても、つぐみは俺のそばに一生いてくれると
思っていた。いや、勝手に思い込んでいた。


HIROTOは悲しいとか、辞めてくれとか言わないんだね。


沈黙する俺。


ずーと思っていたよ。私はHIROTOと結婚するって。
でもね、HIROTOはそれを望んでいないんじゃないかと
思い始めたの。



なんで?


あなたは常に周りの人達に助けられ、逆に助けて
あげて、それでいろいろなものを無くして苦しんで
病気になったように思えるの。



だから、私はHIROTOが今後、苦しむ材料になりたくない。


・・・・・


まだ何も言ってくれないんだね。


ふ~ん。つぐみ、悪いんだけどタバコと
ライター買ってきてくれない?



タバコはダメなんでしょ。


今日は特別だ。それにここにいる事自体ダメなんだから
同じようなもんだよ。



そういうと、つぐみは近くにコンビニに歩いて行った。


そうか、結婚か。これも仕方ない事なんだ。
これ以上の迷惑は掛けれない。


安い映画のセリフの様に結婚しないでくれ。
俺のそばにいてくれ。

なんて次元の話じゃない。


そう、つぐみの為でもあり、俺の為なのかもしれないんだから・・・