その声の主は以前の会社の社長だった。



俺は思わず母にこう言った。


誰も入れないでくれと頼んだよね・・・



母は、アタフタしながら目線を逸らした。



多分、強引に入ってきたのだろう。


『何のようですか?』


俺に用などない事を知りながらそう聞いた。


『そんな言い方しないでくれよ。お前を辞めさせた後、かなりの人間が辞めて行ったんだぞ。』



やはりそうか。


あの時の態度、最後の『すまない』とい言葉は・・・



『それで俺に責任でも取れと言いたいのですか?』



『まぁ、そうも言いたいところだが、体はそうだ?』



『見ての通り、悪くなければ病院にはいないでしょう』



『そうだな・・・実は売り上げが下がってきたんだ』



『だからなんですか?』


『責任とまではいかないが少しの間、罪滅ぼしをしてくれよ』



ふ~~っ!



こいつの頭は壊れてる。俺よりも壊れてる。



『どうだ、考えてくれるか?』


満身の笑みで聞いてくる。


俺も満身の笑みでこう答えた・・・