ママは、さっきとは打って変わって穏やかだ。
やすが、この世界で修羅場を潜り抜けてきただけのことはある・・・
カウンターに座り、ビールを飲む姿もさまになっている。
俺もビールを一口飲んで、久々に買ったタバコに火を付け煙を吐き出す。
『変わってビックリだろ?』
『うんっ』
『やはり不景気なのかねぇ』
『ママの店は変わらずじゃん』
『うちは店じゃなくて憩いの場だからね』と、笑っている。
『憩いの場か・・・確かにそうかも・・・』
『この街も最近は物騒になって来てるよ。』
『そうなんだ・・・・』
『この間も、知り合いの店で、外人が高い安いだので、ゴタゴタして結局、誰かが間にはいったらし
よ。』
『へぇ~』
『お前がイライラするような所になったかもね。』
『俺はそんな・・・気は長いから・・・』
『よく言うよ・・・それで、いきなり顔叩くかい?』
『あれは、何も知らい奴が、生意気言うからだよ。』
『お前、ホントかわんないね・・・・』
『いや、変わったよ。自分本意になった・・・』
店の中は静かだ・・・
余計に沈黙が強調される・・・・
『お前と初めて会った時さ・・・・』
『また、その話かよ・・・年取ったんじゃないの?』
『そうだね。そうかもね・・・・』
『随分、素直じゃん・・・・』
ママは黙っている・・・
何かあったのか・・・・・
こんなに穏やかなママは見たことがなくらいに・・・・・
つづく
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