『タクシー呼ぶよ』と俺が言う。
ホントに朝は冷える。
ばあさんの病院へ行く・・・・・
病人が病人を病院へ、なんて、バカな事を考えていたのを憶えている。
『お前、車は?』
『あっ、会社辞めたから車はないよ。自分のは、使わないから前に売っちゃったし』
『お前、電車で来たのか?』
『俺が電車に乗ったら、変かな?』
『こんなとこまで、電車で来てくれたのかい?』
『最後の電車は線路が一本しかないから、乗らなかったけど・・・』
『単線か?なんで?』
『ぶつかりそうだから・・・』
『バカか、お前は・・・』
何がバカだ。そんな、電車見た事ねぇよ。と、思っていた。
『タクシーなんかじゃなくて、電車で行くよ。』
『何言ってんだよ。調子悪いのに!』と、俺は勝手にタクシーを呼んだ。
何億持っていても、こうなりたいなぁ。俺も・・・
タクシーに乗り込み、東京の病院へ向かった。
着いた先は、有名な大学病院だった。
『吉川さーん』と呼ばれ、診察室に入っていく。
すると、『御身内の方ですか?』と医師が言う。
俺が困っていると、
『たった一人の身内だ』と、ばあさんが言った。
身内以外はうるさいんだなぁ。
医師とばあさんのやり取りを聞いていた。
すると、MRIに入るという。
普通、予約とかしないとダメなんでしょ?と、思いながら待合室で、検査が終わるのを待った。
なんで、検査なんだろう?
よく考えると、不自然だ・・・
予約をしていた様子でもないし・・・
俺は、イヤな感じがしてならなかった・・・
つづく
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