憂鬱だった・・・
鬱病だからかと、ふっと思いながら・・・
俺は鬱病という病気をある種の感染症に似ている病気だと思っている。
一人、寝込んでいたり、暗い人間がいると廻りも暗くなる。
これは、自分自身、鬱病を抱えているからいうことであって、多くの患者さんがいる中でその人達を揶揄しているわけではない。
それくらい、大変な病気だと言いたいのだ。
そうこうしている内に、店に着いた。
引き戸を開けると、第二部が始まっていた。
ママは『あら、お帰り、今日は止まるかい』といい、さっきとは打って変わった態度で接する。
すると、後ろから、『こんばんは』と、つぐみが入ってきた。
さすがに、ママもビックリしている。
『久しぶり、早く入りな。』といい、カウンターの一番奥に二人並んで座った。
『ははははっ!ここで、逢ったんだよね。HIROTOがママに怒られてさ。酒飲み勝負なんかして』
『そうだな。そういうこともあったな。』
『あの頃は、楽しかったね。付き合う前に宛てのない旅に行ってさ。面白かった。』
『ああっ。。。』
『もっと、楽しそうにしてよ。最後の晩餐、知ってる?』
『ああっ。。。』
『つまんないの。HIROTOは何でも知ってるからつまんない。教会行ったからちょっと調べたのに。』
『お前、それ常識だよ。誰でも知ってるよ。』
『酷いなぁー もう一回、大声出してこようかなぁ』
『悪かったから、それだけは勘弁してくれ』
すると、ママが『笑顔できてくてたね。これからも上手くやっていきなさいよ。』
『ママ、私たちね、別れるんだって!』とつぐみが言った。
『だから、別れるんなら最初に逢ったここでってことになったの。』
ママは呆然として、客の注文さえも耳に届いていなかった・・・・
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