話の内容は、御主人が言ってくれた。
実はここのご主人、坂本さんと山田さんは3年位の知りあり、というか見込み客と営業マンの関係らしい。
坂本さんは、売り込みや電話での営業が嫌いということだ。
しかし、三年前の夏、暑い中、営業をしている山田を見てかわいそうになり、家に上げて冷たい麦茶っを飲ませてあげたらしい。
そこで、御主人が、『こんな暑い日に年寄りを・・・酷い上司だなぁ』といったところ、
山田が、『そんなことは、ないですよ。若いけどいい人で優しい人です』と答えたらしい。
そんな、愚痴一つ言わない山田に、ご主人は感動し、いつでも寄ってくれと言ったのが始まりらしい。
誰でも年下の人間に使われることは、いい気分がしないものなのに、若さではなく、山田は俺の人間性で判断したことに・・・
そして、3年間、通う中でも何かを買ってくれとか、何かを見てくれという事は一切なかったという事らしい・・・
そんなこんなで、今日、山田が坂本さんの家に行き、こう言ったという。
『今迄、御馳走になってありがとうございました。今月で、退職することにしました。』と・・・
驚いた坂本さんは『なんで?』と聞くと、
『前に話したうちの上司が大変な病気になってしまいました。しかし、会社が上手くいかなくなってきて、その上司は、無理を押して出てきています。昨日も、体に鞭を打って契約をとってきました。私は、俗にいう、うだつの上がらない営業マンです。その姿を見ていたら申し訳なくて・・・』と、挨拶に来たそうだ。
思っていたが時期坂本さんは、それを聞き、いずれは山田さんからとがまだ早いと思っていたらしい。
でも、その話を聞き、だったら多少時期が早くなってもいいだろうと、いう事を奥さんに言うと、
奥さんも山田さんの顔を見れなくなるのは寂しいということで、このような話になったらしい。
でも、山田さんは『いいんです。ご自分たちの計画でおやりになるのが一番ですから・・』といわれ
契約出来るのに断られる形になったらしい。そこで、御主人が『だったら、山田さんの上司を見てきめさせてもらってもいいかい?』という事で、俺に電話得を入れてきたらしい。
なんてことだ。俺には想像もできないこと・・・
『〇〇さんは、山田さんがそう言ってきたらどうしますか?』と、聞かれた。
『そうですね。カッコを付ける訳ではないですが、上司として、私は辞めさせはしません。失礼ながら、うだつの上がらない営業マンこそ、引き止めます。それは私の責任でもありますし、逆に、トップ営業マンなら、何も言わず受理するでしょう。どこに行っても食べれるわけですから・・・ですから、今回、坂本様が御契約してくれなくても山田はやめさせません。』といった。
『うん。』といい、坂本さんは奥さんに『印鑑を持ってこい』と伝えた。
『山田さん。あなたの言った通りの人だね。また、一杯飲めるね。』と、言った。
『飲めるって、夜も来てたんですか?』と聞くと、
『そうだよ。仕事帰りに無理やり寄ってもらって飲んだこともある』と、御主人が言った。
マジかよ・・・・
すげぇーじゃん!この人・・・・
つづく
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