今日から、給与システムを戻しても支払いは来月だ。
このメンバーがヤル気を出せば、一日150万の売り上げは堅いと思っている。
10日で、1500万!
二週間の日にちは、14日間になっている。
10日間で1500万、実質、売り上げの半金入金で750万。
4日分の売り上げは下請けの遅配に回す。
しかし、今の営業のヤル気は、ここまでのもの。これを一貫性のあるものにしなければいけない。
そこで、弾のぶち込みに入る。
『それから、社長にお願いして特別手当金を用意してもらった。200万の案件に対して、歩合とは別に、5万の手当金を出してもう。限定5本の争奪戦だ。』
『おおっー!』と、活気が出てくる。
『今日、この時間からスタートだ!尚、特別手当金は、契約支給!すなわち、当日現金支給だ。それプラス、これは給与明細には載せないから、奥さんや家族には分からないようにする。ここのヘソクリになるようになるよ。』
『おおっーー!』
と、やる気が伝わってくる。
『限定5本なので、契約書を書き終えたらすぐに、携帯を忘れたからといい、客宅から俺に連絡をしてくれ!頼んだよ。じゃあ、頑張っていこう!!!』
というと、『行ってきます。』と、次々に営業に出て行く。
俺は、それを見届けると、事務室に向かった。
やるべきことは、終わっちゃいない。
これからが、大変なんだ・・・・
そう思いながら、事務室で経理の人間の横にパイプ椅子を持ってきて座った。
『銀行の融資は、どうなりそうだ?』と聞くと、
昨日の恫喝でビクビクしながら答えた。
『実際、会計士さんは、ああいっていましたが、実行はかなり厳しいと思われます。』
・・・・
『担保も企業拡大も絵空事で、何もないわけでして・・・』、ハンカチで汗を拭きながら言っている。
『そうだよな。粉飾決済か。やり方が幼稚過ぎる。お前が加担したのか?』
『いえっ。専務と常務です。』
『社長は?』
『社長は、指示を出しただけで、銀行とのやり取りは全てお二人で・・・』
だろうな。
社長は営業畑の人間だ。もし、実行されれば銀行にいって、実印を押すくらいしかできない。
『経理から見て、この会社の状態をどう思う?』と聞くと
『経理は完全に破たんしています。私的流用は4000万を超えています』
『4000?ってことは、俺が休む前からか?』
『はい・・』
『ばかな。決算報告書も書き物か?』
『はい・・本部長は昨夜あんな状態でしたから、見ていないでしょうが、正月にも出金があります。』
『そんな会社ないよな。』
俺は、笑うしかなかった。
『今後、この通帳はお前が持っていろ。いいな。カードは俺が持っている。』
昨日、社長から通帳とカードを俺に渡せといい、拒んだが無理やり取り上げた通帳だ。
『管理を頼んだぞ。』というと、『はい』と返答が来た。
通帳を渡しても金は出せない。
『これは俺とお前しか知らない事だ。分かったな』
と言い残し、俺は外へ出てあるところへ向かった。
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