救いの種は一つだけあった。


うちの会社は現金回収の会社だ。


つまり、手付で半金貰えるというやり方だ。



俺は、事務に『25日迄の回収残はいくらある?』と、聞いた。


『え~と。見てきます。』と、言っている。


『お前バカか。そんな事すら、頭に入っていないのか?』と、怒鳴った。いつもはこんな事はないが、

手の痺れ、それに加え、胸の痛みが俺を襲っていて、さっきから右手で胸を押さえている。



慌てて帰ってきた事務が回収帳を俺に持ってきた。


『お前の仕事は、事務だよな。でも経理ともいううんだ。これ位、頭に入れとけ。』


といい回収帳を見ながら、電卓を叩いた。


500万欠けるかぁ~


預金残高、150+500と考え、650万。


不足分550万。


『社長。不足550です。まともに言って・・・』

と、いうと、横から、『俺たちの分も入れてか?』と、常務が聞いてきた。



『ふざけてんのか?俺らの分ははいっていねぇよ』と、静かに睨み付けた。


すると、『俺らにも生活があるんだ。』と言い返してきた。


『社長。バカの言っていることに付き合っていられないですから、こいつの話はあとで社長がしてください』と言った。



自分させよければいい・・・


その典型的奴に付き合っている暇はない。


550万


つまり、半金入金が鉄則なのだから、1100万の売り上げを上げれば社員の給与は払える。



その、5日後に下請けの支払い。後は遅れを少しは入れなければ機能しなくなる。


『社長!私的流用の分に関しては、今はしていても仕方ないです。会社を存続させるには、手を打たなければいけません。そこで、どうお考えなんですか?』と聞くと、


『2週間で売り上げを作るしかない。』という。


またそれか。


仕方ない。


『分かりました。そうしましたら、まず、営業の給与システムをもとに戻してください。』


そると、『そんなことしたら、余計支払いが増えるじゃないか』と常務がが言ってきた。


俺は『お前は黙ってろ!だから、売り上げが止まるんだよ。経理畑の人間は銭勘定してろ!』と、怒鳴り散らした。


『社長、承認してくれますね。』というと、


『勝算は?』と聞いてきた。


俺は、『勝ち負けではないですよ。これにかけるしかない』と、いうと



『分かった』と、社長が呟くように言った。


よし、後はどう動かすかだけだ。


この事を承諾させるための、長い時間だったんだから、今日はこれで良しとしよう。


『では、明日は8時にここで、また、話し合いましょう』と、俺がいい解散した。


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