正直、キツイ・・・
正直、ツライ・・・
でも、これはやらなければいけない事・・・
『ただいま~!』と、会社に入っていくと、専務がいた。
『どこまでいってんだ。社長がお待ちだぞ。』
俺が待たせてんだよ。。。と、思いながら社長室に向かった。
この専務、実は創業当時からいる人間ではない。
創業時の役員はつい最近、体を壊し、退職していた。
そのかわりに、社長の身内を役員に添えた。
業界の事は素人で何も知らない。要は社長の太鼓持ち。。。
社長室に入ると俺を入れた三役と、なぜか分からないが会計士がいた。
そして、どこで見つけてきたか知らないが、経営コンサルタントまでいた。
俺は、『どうしたんですか?この顔触れは?先生たちまでいらっしゃって・・・』と、いうと
社長が、『今後の事もあるし、サポートしてくださる先生方にも来たもらった。』と、言った。
俺は、『僕がいない方が話が早いものなら席を外しますよ。僕は違う話で用があるんです。』
すると、会計士が俺に『君にもいてもらわないと困るよ。経営陣なんだから・・・』と、言ってきた。
都合のいいところは経営陣か?
『で、話はなんでしょうか?』と尋ねると、
『このままではキャッシュが足りないんだよ』
『このままいけば、黒字倒産という事だ。』
と、会計士が言ってきた。
『黒字倒産?なんで?』
そんなはずはない。下請けの遅配の時から考えていたが、キャッシュが足りないなんておかしい事だ。
4期連続黒字計上。
俺は直接、会社の通帳を見たのは一年前だが、億を少し欠けるキャッシュがあった。
事務室に残っていた経理部長に内線を入れ、決算報告書と出納帳を持ってこさせた。
前期までは黒字で間違いない。
出納長も俺が見る限りそこまで追い込まれているほどではない。
専門ではないが、バランスシート位は俺にも分かる。
『通帳残高は?』と、経理部長に聞くと、私は預かっていませんとの事だ。
『誰が持っている。』と聞くと、
『社長です』と答えた。
バカな!
それだけは絶対ダメなんだ。そこを暗闇にしたら・・・
金の出し入れはいいが、通帳残高は生命線だ。
特に営業畑できた社長に全てを握らせては・・・
営業畑の俺が言うのもなんだが、それだけはダメなんだよ。
『じゃあ、出納帳は数字の書き込みだけか!』と、いうと経理部長は下を向いて黙っていた。
『お前、それでプロとしてよくプライドが傷まないな。』と言った。
長い夜が始まろうとしていた。。。
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