『ヨシッ』と決意したものの、俺は病院に行くのが怖かった。。。
まだ、本当の意味での自分の間違いに気付いていなかったからだ。
病院の前を行ったり来たりして、いざここまで来て躊躇していた。
しかし、そんなことを何十分もしていても仕方ないので、俺は勇気を振り絞り病院の中へ入った。
今日は、まぁまぁ混んでいる。
診察券を出し、待合室の椅子に座った。
事務の人達の目線を感じる。
この病院で、俺は有名になっていた。
主治医と喧嘩をしてみたり、処置中に点滴の針を抜いたり、最後は医院長に大声で怒鳴らられ始末。
そんな、俺を知らない訳がない・・・・
もっと、違う所で有名になりたいものだと思っていた。
まぁ、俺がしたことだ。仕方がない・・・と、思うほかなかった。
携帯をいじりながら待っていると『〇〇さ~んと呼ばれた』
心臓の鼓動が自分でも分かる。
『どうだねぇ~?』、この間とは打って変わって温厚な感じだ。
俺は何も言わず、しばらく時間が過ぎた。
すると、
医院長:『今日はおとなしいなぁ。どうした?』と聞いてきた。
俺 :『意味が分かんないし、今日も来るか来ないか迷ってた。』
医院長:『迷ってたかぁ。そうか。じゃあ、なんで今日来たんだい?』
俺 :『それも分かんない』
医院長:『何も分からないか。でもそれでいいんだよ。』
俺 :『はぁ?』
医院長:『この間、怒ったのはねぇ。〇〇君がこの病気の事を知っていると思ってたことなんだよ』
俺 :『知ってるよ。鬱病だろ。』
医院長:『そう!鬱病だ。しかし、鬱病というのは正直な所、いつどこでどんな症状出るかわからないんだよ。そこで、〇〇君は、この間のようなことになった。』
俺 :『でも、先生に言われた通り、家では頓服飲んで、言われたことはしたよ。』
医院長:『そうかもしれない。でも、一日に三回も苦しい思いをしてるのにも拘らず、なんで、三回目の時、大丈夫だと思ったんだい?』
俺 :『又か!直ぐに治るし、一日に二回も救急車に乗ることもない。病院に行っても答えは一緒だと思ったんだよ。』
医院長:『そうだろ。だから、怒ったんだ。2回発作が出て3回目は大丈夫という保証がどこにある。ないだろ。それを〇〇君は、自分で処理した。しかも、頑張ったよ、先生!って感じでね。』
医院長:『そんなのは頑張りでもなければ、なんでもない。むしろ、自殺行為だ。』
俺 :『・・・じゃあ、救急車呼んで病院のに行くのが正解だったの?』
医院長:『ああ、そうだ。その為の救急だろ。〇〇君は救急の事態になっていたんだから、当然だ』
医院長:『〇〇君は病気の名前は知ってるが、病気の処置は知らない。だから、万に一つを考えていかなければいけない。この病気は、どんな症状が併発するか分からない。今日の自分と昨日の自分が良くなっているのか悪くなっているのかさえ。』
俺の完敗だ。
確かに医院長の言う通りかもしれない。俺は自分で自分の体の異変をジャッジした。
それが取り返しのつかない事になっていたら・・・そう思うと、背筋に寒気がした。
医院長:『分かってくれたらいいんだ。たまには、サポートの人間のいう事を聞くんだよ』
俺は黙って頷いた。
名医はこういう人の事を言うのかもしれないなぁ・・・
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