と、昔からよく聞かされている話だ。誰でも知っている話・・・・
でも、それは昔の話だ。
支えあってなんかいない・・・・
そうでなければ、倒れている人間に手を差し伸べるはず・・・
人とは、身内や友人などを指して人という字になっているんだ。
他の人は、支えあうことなどない。いわば、『他人』、支える必要もなければ、支えてももらえない。
多分、昔からそうだったはずだ。よく聞かされていた人という文字の話はウソなんだよ。
あとから、そう思った。
しかし今は、そんな事を考えていることなどできる状態ではなかった。
苦しい・・・苦しい・・・
すると、近くに人の気配が・・・
『大丈夫ですか?』
『か みぶくろっ・・・』
『なんですか?』と、女の人の声だ。
『なんですか?』と、慌てて、必死に俺に追いかける。
『か きぶくろっ・・・くだ さ い』
『かみぶくろ?』
当たり前だ。苦しんでるのに紙袋くれと言ってる奴なんて見たことないに決まってる。
そういっても、訳が分からいだろう。
『救急車呼びますか?』と、聞いてくる。
お願いしますとも答えられないんです。と、言いたいが、声が出ない。
何人かの人間が集まってきた。
『救急車呼べよ。』とか、後から来たやつらがバタバタしている。
そんなものだ。一人誰かが行けば俺も俺も・・・
この国の人間はそうなんだよ。右に習えなんだよ。
俺は苦しさ以上の、得体のしれない何かに手を引っ張られるように自ら立ち上がった。
失望感を自ら希望に変えるために・・・
つづく
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