この町は、横浜駅から電車で10分位の所にある。


横浜といえばむしろ、このあたりの方が有名かもしれない。


何キロにも及ぶメインストリートがあり、その縦のメイン通りにぶつかる様にして、飲み屋や風俗やらいろいろな店が立ち並ぶ。


俺が生まれ、育ち、今もこうしてここで生きている。


幼少の頃は、父も横浜にいて店を10店舗近くやっていた。


父は今、この町にはいない。


物心ついた時から、俺の遊び場だった。公園もなければ、ブランコひとつない、俗にいう教育上、最もよくない場所だ。


今は昔と違い、交際色豊かな街になっている。アジアの人達、アフリカ、欧米といない人種はないのではないかというくらい国際化した街に変貌した。


不法滞在、違法行為、長年住んでいれば何が行われているのかは分かるようにもなる。


そう、暗闇の中にしばらくいると、最初は見えなかったものが薄ら見えてくるように・・・


俺の父は、元々、関西で有名な暴力団だったらしい。ある事をきっかけにこの街にきて、成功者となった。しかし、バブルとともに父も泡のようにこの街から姿を消した。


そこで、母が女で一つで俺を育ててくれた。


俺は別に不良でもなければ、真面目でもない普通の子供だった。


でも、この街は嫌いではない。故郷らしくないここが性に合っている。


そんな中、俺は同級生や幼馴染との交流は嫌いだった。

むしろ、エイリアンと呼ばれる外国人の友人の方が多かった。


街を歩けば、いろいろな言葉で声を掛けられしゃべったり、カタコトの日本語で相手と話をしていた。


それが煩わしいとき、大きめのキャップを被っていた。


今日も大きめのキャップにナイキのスニーカー・・・


煩わしいのがイヤな時のスタイルなのに、バカな奴に出くわしたってわけだ。

トコトンついてないなぁ~

ベンチから立ち上がった俺は、『お前の店はどこなんだよ』と、さっきの兄さんに声をかけた。


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