不自然な感覚だ。診察室の時計の針は12:50をさそうとしている。
ふと、俺の目線が時計に向いた事にきづいたのか
医院長:『あ~!大丈夫だよ。時間は・・・午後の診察は3時からだから今日は他の患者さんに怒られる心配はない。〇〇君と今後の事を話せる時間はたくさんある。』
ちなみにこのメンタルクリニックは、地方からも患者さんが集まるくらい有名らしい。
そこの医院長だから多忙なのは間違いない。
俺 :『なぜ、俺にそこまでする。』
医院長:『じゃあ、なんで君はここにいるんだね?』
俺 :『当たり前だろ!病気を治しに来てんだろ!』語尾が強めになる。
医院長:『私も〇〇君の事を治したいから、提案しているだよ。』
そこで、俺の脳裏にはまったく違ったことが走り抜けていく・・・
ホントは俺、凄く悪くて重症なんじゃねぇか?
俺 :『俺は重症なんじゃねぇか?』
医院長:『うん。この間より悪くなっている。間違いないねぇ~』
俺 :『あっさりしてるな。そう、あっさりしてると何も言えなくなんだろ!』
医院長:『〇〇君は釣りがすきなんだねぇ!私はしないんだが釣りはいらいらしないかい?』
何言ってんの?この人?確かにカウンセリングの時に言った覚えはあるけど、なんなんだよ?
医院長:『釣りは魚がかかるまでずっと待ってるんだろ?』
俺 :『そうだけど。当たり前の事だろ!それが、何かに関係あるの?』
半ばバカらしくなってきた。
医院長:『イヤ。別に。そうでもないか?』
何か独り言のように言い出した。
本来、僕の性格は短気ではないが、気が長い方でもない。そんな、僕は医院長とのやり取りに怒りとは違う、バカバカしさに似た、ある種、好感に近いものを持っていた。
医院長:『君の病気はねぇ・・・手術をしても治るようなものでもない。そうなると、薬ということに なるね。それに、神経の病気は簡単には完治しない。要は、時間がかかるということだ』
医院長:『だから釣りの事を知らないから聞いてみたんだ。』
俺 :『釣りと何の関係があんの?』
医院長:『〇〇君は釣りが趣味だよねぇ?でも、これから君は漁師にならなければいけない。』
漁 師?
つづく
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