リビングに居た母は、『どこに行くの?こんな夜中にオシャレして。』

と俺に笑顔で話してきた。


時間にすればほんの数秒。感覚では何十分もたっているよな・・・よくある緊迫の時間錯覚。


フゥーと息を吸い込み言葉を発した。力のない言葉で・・・


『死にに行くんだよ・・・ゴメン・・・もういいだろ・・・』


俺の目からは涙が流れていた。母の勘とはこういうものか?女の勘を遥かに超えている。


『誰に何を謝っているの?もういいってどういうことなの?』



『あなたが謝る事なんてなにもないのよ。もういいっていうのは分かるわ。』


『でもねぇ・・・死なせるわけにはいかない。』


『だって、私の子供だから・・・一人しかいない息子なんだから・・・』


『神様がいたら言ってあげるわ。私の子供はまだ貴方様の処へは行かせませんって。』



母は泣くことも泣く、ゆっくりと優しくそう話した。



『あなたに、力づくで押されたら、私は止められない。けどね!』


『私は、どうしても、あなたが死にたいというなら私が楽にさせてあげる。』


『だって、あなたを止められるのは私しか今いないじゃない。それが出来ないなら、私にも責任があるから、あなたを楽にして罪を償うわ』



ここで言葉など出るわけがない・・・


俺は再び部屋へと引き換えし、パーカーを脱ぎ捨て、そのまま眠ってしまった・・・




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