以前、潜在意識という概念を勉強していたころ、
前世、あるいは過去世という概念につきあたった。
博士論文のテーマが中枢神経系の解剖だった人間が、
非科学的な概念の世界に浴することを誰もが疑った。
当然、飛躍したスキルを伴うからだった。
中枢とは大脳、小脳、脳幹、脊髄を含む神経の
伝導・伝達系であり、およそ生き物のすべての活動が
これらの系によって管理・統合されている。
知人紹介のセラピストの指示により、
催眠ではなく軽眠状態に導かれる。
自分の潜在意識の中への旅がはじまる。
地面を感じ、足元を見るよう促され、順に着ている物、
皮膚の色、顔つき、髪の毛などを確認する。
どうも、日本人ではないようだった。
赤紫とシルバーが混ざった濃淡のあるビーズの衣装。
なめした皮で編みこまれた靴。
15歳の少年だった。
場所は、トラバーチンをふんだんに使用した修道院の回廊。
いままで見たことのない円柱の造形美は緑に映えて美しかった。
しかし自分は何かに追われるようにして、命辛々逃げて来たようだった。
次の瞬間、最も嫌な場面を思い出すよう促される。
それは、家族が弟と自分以外はみな殺されてしまう瞬間だった。
(ちなみに現在、本当の弟はいない)
非常に重苦しい空気から苦悶様の表情になっている自分がわかる。
すぐに次の場面へ促される。
そこは、老いた自分がいま正に天に昇ろうとしているところだった。
多くの司教たちが私を囲むように祈りを捧げてくれている。
いよいよというときに、はぐれていた先の弟が駆けつけてくれる
のだが、私の声を聴けずに泣き崩れる姿が眼下にどんどんと
小さくなっていってしまい、明るい、白い光のなかで、光に抱かれて
体が光になるところで終わった。
この間は、大汗をかき、身もだえ、叫び、泣きわめき、
およそ実生活では想像のできない物語が繰り広げられた。
そこに登場する人物は姿形こそ違えど、私の親族や現在関わりのある
人たちであることは容易にわかった。
(誤解を招きそうなので、ここでは、これ以上の仔細は控えます)
脳(中枢)の作り出す想像の産物でしかないかもしれないが、
この経験が私のいのちや意識への洞察の源になったのは確か。
このことが何を意味しているのかは、正直なところまだわからない。
しかし、記憶というものがどこに残されているのかが、
より明らかになれば、何か新しい知見がわかるかもしれない。
(海馬が関わっていることは半世紀以上前から知られている)
こんなことを書くと疑われることは必至だが、
いまでもその時の記憶は鮮明に思い出すときが・・・
夢か幻か
ファンタジーは永遠なり
そして私たちのいのちも
LUKE