Jealousy ...because I love you 2 | Fantastic Blue

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韓国俳優チュ・ジフンssiを、こよなく愛する妄想の小部屋です

チェギョンは頬を膨らませ、プリプリ怒りながら戻ってきた。
まるでシンの不機嫌がチェギョンに伝染したみたいだ。

 

「シン、すごく機嫌が悪かったみたいだけど、何の用だったの?」

「全く…どうもこうもないわよ。 あの横暴王子ったら何て言ったと思う? 『お前は皇太子妃なんだぞ。  俺以外の男とベタベタ馴れ馴れしくするな! 二人きりになるな!』 だって。」

「本当にシンがそう言ったの?」

 

まさか…嘘だろ? あの能面みたいな奴がそんなこと…

 

「そうよ。 馬っ鹿みたい…だって俺以外ってユル君だよ? ねえ、皇太子妃ってクラスメートの男の子と仲良くすることも許されないの? だったら皇太子妃になんてなるんじゃなかったわ。」

 

頭から湯気が立ちそうなほど憤慨している様子のチェギョン。
だけど僕は可笑しくて仕方なかった。

 

「…ぷっ…くくく…あ~もうダメ…あはははは~~~!」

「ちょっと、ユル君どうして笑うの? 私はすごく真剣なのに。」

 

あのシンがねぇ~
チェギョンの言うことが本当なら、シンはたぶんチェギョンが好きだ。
でも、あの無表情な男が一体どんな顔をして 『俺以外の男とベタベタするな』 なんて言ったんだろう…
想像しただけで笑える。
今時小学生じゃあるまいし、『馴れ馴れしくするな』 だの 『二人きりになるな』 だって!?
あぁ~~笑いすぎてお腹が痛い。

 

「もう~何なの? シン君は訳の解らないことで怒るし、ユル君には笑われるし…私は一体どうすればいいっていうのよ?」

「ごめんごめん、悪かったよ。 でもさ、チェギョン…シンの言うことなんて気にしなくていいよ。」

「そうは言っても、後でまたぶつぶつ文句言われるの嫌だし…あ~あ、面倒な奴…」

 

盛大にため息をつくチェギョンの肩をポンポンと叩いて、僕は心配要らないさと笑った。

 

恋をすれば皇太子もただの男…か。
あのシンが嫉妬に狂って冷静さを失うとはね。
氷の王子も、チェギョンのあの天真爛漫さと屈託のない笑顔には敵わなかったってことか。
シンのうろたえる姿か…ちょっと見てみたいかも。

 

それにしても…だ。
シンが素直にチェギョンを好きだと認めるとは思えないし、チェギョンだってあの通り超のつく天然ちゃんときているのだから困ったものだ。
あんな言葉、嫉妬以外の何物でもないと普通は解るはずなのに、何で気づかないかな?
さて、どうすればこの愛すべきロイヤルカップルをラブラブに出来るのだろう…

 

『ユルや…私は一日も早く曾孫に会いたいのじゃ。 だからシンとチェギョンがもっと仲良くなるよう、そなたが手助けしておくれ。』

 

はぁ~お祖母様もとんだ役回りを押し付けてくださったものだ。
全く…世話の焼ける新婚さんだよ。

 

まあとにかく僕はシンの方から攻めてみるとするか。


 

 
翌日の午後。

シンは公務で出かけたと聞いて、僕はチェギョンに会いに東宮殿を訪れた。
敵を知るにはまず味方から…じゃないけれど、一応チェギョンの気持ちを確かめておきたかったから。
ちょうどお妃教育が終わったところらしく、彼女はお茶にしようと思っていたのと、ニコニコしながら部屋へ招き入れてくれた。
ソファーに向かい合わせに腰を下ろすと、チェ尚宮がタイミング良くお茶を運んできた。
ハーブティーと一緒にテーブルに並べられたケーキを見て、チェギョンは瞳を輝かせた。

 

「お姉さん、このケーキもしかして…」

「はい、『アンティーク』 のガトーショコラでございます。」

「わぁ~陛下ってば本当に買ってきてくださったのね。」

「何? チェギョンが陛下におねだりしたの?」

「うん。 だってね、今すごく流行のお店なんだってガンヒョンが言ってたのよね。 特にこのガトーショコラがおススメなんだって……んーっ、おいしー♪」

 

ケーキを頬張りながら幸せそうに笑うチェギョンに、チェ尚宮が遠慮がちにお辞儀をする。

 

「妃宮様、こちらは陛下からのご伝言でございます。」

 

差し出されたカードを開いた彼女は、とたんに眉根を寄せて唸った。

 

「どうしたの? 陛下何だって?」

「『太子と妃宮の新婚生活も、ケーキのように甘いのだろうな…』だって。」

「ぷっ…あはははは~~~! 陛下最高!」

「何これ? どうしたらあんな俺様王子と甘くなれるっていうのよ?」

 

お祖母様だけでなく陛下まで…
何としても二人をくっつけたいってことか。

 

「じゃあチェギョンは、シンとはそうなれないって言いたいの?」

「だって…あんな調子のシン君と仲良くなれると思う? それに、俺以外の男と仲良くしちゃダメっていうくせに、当の本人は私と仲良くする気なんて全然ないんだから。」

「照れてるだけじゃないの?」

「違うわよ、絶対! シン君は私を馬鹿にして面白がっているだけよ。 あんな捻くれた奴、こっちからお断りだっていうのよ。」

「おいおい…穏やかじゃないな。」

「シン君が悪いのよ。 自分はヒョリンといつも仲良くしているくせに…」

「で、妻の自分を差し置いてヒョリンとイチャイチャするシンが許せない…って?」

「な、な、なっ…何言ってるの、ユル君。 わ、私は別に…」

 

真っ赤になって否定したって説得力ないよ、チェギョン…
顔に書いてあるじゃないか。
やっぱり君もシンが好きなんだね?

 

やれやれ…
こんなに可愛いお姫様に好かれているのに、シンの奴は一体何やっているんだか。
早く好きだと打ち明けて安心させてあげればいいのに。

 

健気なチェギョンがいじらしくて、思わず隣に回ってその華奢な体を抱き締めた。

 

「えっ…ユル君?」

「ごめん、つい…チェギョンが可愛いくて。 その可愛さをシンにももっと素直に見せればいいのに…」

「可愛いなんて言ってくれるの、ユル君だけよ。 あいつはとにかく俺様だもの。」

 

お互いシンの俺様ぶりを想像して…目が合ったとたん、ぷっと噴き出してしまった。


 

「何をしている?」

 

突然背後に低い声が響いた。


 

Oh, my God!

 

振り返ると、冷たい目をしたシンがドアの前に立ったまま僕を睨み付けていた。


 

 

2010年12月 2日 初稿(Yahoo!ブログ)

2019年 4月26日 改稿