Ekoの呟き -2ページ目

六月八日(水曜日) 曇り 蒸し暑い

ほほずき

・ゆっくりと短絡化する陽面(ひおもて)の北寄りに数個ほほずき熟れて

 

・一つ二つ拾うことより切り捨てて他愛もなくてサスペンス詠む

 

・修正ペンであまた記憶を塗りつぶしいま夕空の雲のさびしさ

 

・白く濃い高原のミルク口にして空に焦がるる風を見ている

 

・モノトーンに筆を染めぬく子の胸に愛(やさ)しきものの多く宿れよ

 

・人待つを何に紛らすこともなく発(た)つ飛行機の音に軋まれ

 

・歳月のかたちは淡し双の掌(て)にまろばせながら髪束ねおり

 

・叶わぬ夢 昏き雲間にほうり上げ春雨あとの坂下り行く

六月六日(月)


今日の作品

 

*めぐり逢う人のひずみに人あらばさらり生くことあまた覚ゆる 

 

*幸せを装うようなブラウスをふとしたに置く夕まぐれなり

 

*ときどきの本音互みに並べみむ中腹からの霧のあとさき

 

*連山をはいのぼりゆく速度さえそのまま許してゆける霧風

 

*危うきを幾日となくふり落しきみのかたえにこころ添わせぬ

 

六月五日(日)

・迷わずに駈けて行きたき安らぎは菜の花一面そのまた向こう


・こきざみに画像の変る部屋に咲くこでまりの光(かげ)しだる我が裡


・珈琲と朝を一気に呑み乾してふり向かぬまま曖昧を絶つ


・窓ひらき導き入るる夕茜ひと日を終えてわたしに戻り


・残照の水にゆらゆら睡蓮の自生の息をとめてはならぬ


・逆回転きみに手習うくるくるとほどけてわたしは糸車かも

六月二日(木)  初夏

・おろか者わかっていても夢をみる長き日あれば髪にまつわり


・落陽にあえてつながるSLの汽笛はひびく中也の碑にも


・ともかくも思い出だけをつめこめば後は羽衣なびかせて翔ぶ


・はつ夏の風はるんるん転がりてやっとふた葉のあさがおに添う


・くきくきと伸びし竹の子みるときはわがままふせて我をみている


・めぐり逢う人のひずみに人あらばさらり生くことあまた覚ゆる


・うつろいを風邪にまかせて飽き足りぬセントポーリアの紫になか


・ときどきの本音互みに並べみん中腹からの霧のあとさき


・連山をはいのぼりゆく速度さえそのまま許してゆける霧風


・あかるめる山里からのみやげものひとつふたつに匂う雨あと

六月一日(水) 思いつくままに

・掌(てのひら)に確かなるもの在らぬ夜は星座さがしつ遠し矢ひろう


・かの誤解かの真実はどれほどの隔たりもなき飄飄として


・とび魚の美(は)しきをとどむ海からの夏はかすかに背をみせ初む


・ながれながれ真夏のかぜはくちびるにさよならさえも届けてくれぬ


・ささやきが心の扉ひらくとき初夏(なつ)は涼しき風と思えり


・しばられて手と足のなきわが魂のひとり歩きは束の間の夢


・さりとてもピエロ装う口惜しさのその手に過ぎしそこはかと夏


・君ゆえに夏草やはり繁らせて朝 糸とんぼゆるやかに飛ぶ

五月二十九日(日)

髪すこし切りたる夕べ首筋に這いずりまわる過去形はなし


白桃の甘さを越ゆるわが息(こ)から詩の一節を聞かさるる夕


しらしらと流れを止めむ素麺の箸にわずかな悔いが捲きつく


逢うことのなければ昏き苦しみに 花の絡める夏の夜の夢

初めてのブログ記載

冬なかば木漏れ陽とめる手のひらを我が短歌(うた)すでに温もりもせず


妻の死を和やかな様とつとつとつ語る君の眸深き藍色(いろ)帯び