2回目の精液検査は、また厳しい結果でした。

結果の説明が終わると、先生がパンフレットを

見せながら話を続けます。

 

言葉を選んでいる様子で、

 

「40年前なら『子どもは諦めてください』と言ったでしょうが、

今は不妊治療の技術が進んできています。

不妊治療で生まれてきた人たちも、結構な年齢になっていますが、

現在まで問題なく暮らしています。手はあるんですよ」

 

先生が見せてくれたのは、不妊の基本知識がまとめられた冊子と、

「男性不妊外来」のパンフレット。

 

「まずは、原因を詳しく調べてもらいましょう。

紹介状を書きますから」

 

診察室を裏から出て、受付近くの椅子に戻る途中。

トイレに立ち寄ります。

 

患者さんも多い時間帯だったので、

声は抑えましたが、

1人になると涙が止まりませんでした。

 

精子の運動率が0%という結果に終わった、1回目の精液検査。

「精子の保管状況が悪かった可能性」も指摘されたため、

2回目はできるだけ準備を整えました。

 

まずは精子を運ぶ際、タオルだけでなく、保温バッグを購入

(1回目の精液検査の時に、先生からアドバイスをもらいました)

 

また、朝に精子を採取する前、

保温バッグにぬるま湯のペットボトルを入れ、

中を温めておきました。

 

その後、精子を採取して、病院に持ち込みます。

喫茶店で時間をつぶし、1時間ほど後に病院に戻りました。

 

結果は、1回目と変わりませんでした(精子の運動率0%)。

ほかの数値についても説明されましたが、

知識も少なかったため、あまり記憶に残っていません。

 

気を遣うように、「精子を運ぶときの状況が悪かったかもしれません。もう1回やりますか?」

と話す先生。

 

ですが、保温バッグや保温用のペットボトルを見せると、

「そうですか…」といい、少しだけ黙ってしまいました。

 

少し時間が経つと、引き出しから

パンフレットを出しながら、先生が話を続けます。

「精子運動率0%」という結果がでた、地元のクリニックでの精液検査。

 

精子の保管状況が悪かった可能性もあるため

「もう1回検査を受けて」、と言われましたが、

なかなか足が向きません。

 

その分増えたのは、ネット検索でした。

 

「不妊 夫に原因」

「男性不妊」

「精子 よくなる方法」

「精液検査 精度」

 

など・・・さまざまなキーワードで記事やブログを読み続けます。

不妊治療に取り組む方のアメブロで勇気をもらいましたが、

気分はなかなか晴れません。

 

もう1つ懸念だったのは、妻にどう話すか。

実は1回目の精液検査は、妻に黙って受けていました。

(悪い結果が出た時のことが、怖かったのです。心の準備以上に悪い結果が出てしまいましたが・・・)

 

ですが、さすがに見て見ぬふりもできない結果です。

数週間後に、2回目の精液検査を予約しました。

 

妻には、1回目のことは伏せたまま。

 

軽い気持ちで、行こうと考えた地元のクリニック。

電話をすると、精液検査の利用者は少ないのか何度か聞き返され、

どぎまぎしながら、何とか予約をします。

 

指示にしたがって事前に検査用のコップを受取りにいくと、

注意事項(禁欲期間[4~5日]、提出時間など)が書かれたペラ紙を渡されます。

 

あとは当日、精液をとって提出するだけ。

 

当日は、朝8時くらいに精液を採取。

タオルにくるんでクリニックに提出します。結果は1時間~1時間半後には出るので、その頃にクリニックに戻りました。

 

思えば、ここまでは(能天気に)まだ幸せでした・・・

 

クリニックに戻っても、なかなか順番が呼ばれません。

ようやく声がかけられても、最初の行き先は他の患者さんと違い、受付の裏側のスペース。

その後、裏から診察室に案内されました。


先生の話はなかなか頭に入ってこなかったですが、

「精子の運動率0%」といわれたことだけは、

よく覚えています。

 

最後に、先生から「精子の保管状況が悪かった可能性もある」といわれ、

2回目の精液検査を受けることになりました。

30歳前後といえば、同年代の知り合いから「子どもができた」と聞くのも増えるころ。

 

一方で、我が家は夫婦ともに激務で消耗するばかり。

タイミングがなかなか取れない中、それでも「なにかやっておこうか」と思って

取り組んだのが、「シリンジ法」でした。

 

シリンジ法は、注射器のような形をしたやわらかい「シリンジ」で精子を吸い上げ、注入する方法。

 

病院でおこなう場合もありますが、私たちは避妊器具で有名な「典雅」や「相模ゴム工業」の製品を使っていました。

月に数千円程度で、仕事で疲弊したなかでも”何とかやれる”。

悪くない選択だったと思います。

 

ですが我が家の場合は、「うんともすんとも、できない」(汗)。

 

 

数年前から、「不妊の原因の半分は、男性側に理由がある」という話はだいぶ広まっていました。

 

「(妻が通ってる)婦人科には、男性向けの精液検査もある。ちょっと行ってみようかな」

 

そんな軽い気持ちが吹き飛ばされるのは、

初回の検査結果がでた日でした。

 

 

 

 

「そろそろ子どもが欲しいね」と夫婦で話しあっていた矢先、

悲しいまでの”精子の質の低さ”が発覚。

 

あまりに申し訳なくて、

クリニックから泣いて帰ったあと、

妻に土下座しました。

 

夫婦で取り組む不妊治療の記録と、不妊治療をしてくれる妻への感謝(ときどきグチ)を、

こころの整理がついた時に書いていきます。

 

あの日、土下座したことを忘れないように・・・。