私が住んでいた小さな木の家は、小さな庭と池と井戸と緑の生垣と6月には美しい紫の花をつける大きなあやめの花の大株があった。池にはどんどん大きく育つ金魚達が楽しそうに暮らしていた。水草は金魚達の寝床になり、私は家の裏の地面から大きなミミズを取り出し、ナイフで刻んで金魚達にご馳走した。家の前には程良い空き地が広がり、春には数え切れない草花を咲かせていた。柔らかい大地の上を、跳ねては、草花達と春を祝い、森から何かがこちらを見ている視線を感じながら、大地を走っては、その柔らかさに、生きることを教えてくれている、草花や風に息吹に、愛を感じていた。森は静かにそこにあり、冷たい風を小さな野原に送ってくれていた。昨日、森の中で聞いた事は、今日は忘れていた。幼い時はそんなもの。森の上に広がる空は、雲といっしょに不思議な鳥を映していた。大きな翼と綺麗な羽根は音も無く、空をまるで泳いでいるように、渡っていた。