その頃、小田急線に乗って町田で待ち合わせをすることが多かった。その日もよく晴れた日で、電車の中は殆ど満席で立っているのは私と男1人だけだった。
車両の中は、昼寝に丁度良い温度で、乗客達はみんな居眠りをしていた。私は、ドアの横あたりに寄りかかりながら、揺れる車両に身を任せていた。まるで、サーフィンでもしているみたい、小田急線の揺れ方は独特で、気持ち良い。前を見ると、車両の中央に立っている男の人は、私を見つめていた。私の目を見つめている。え?????若くもなく、年寄りでもない男の人は、何かを言いたいのか?私の目を見て、言葉にならない感情???を私に送ってくる。目をそらしたくても、そうはさせてくれない何かが、私を縛りつけて、目を逸らすことが出来ない。おい、気がつけよ、男の人の目は、強く訴えている。特急電車なので、止まることもなく、私にとって困った時間となった。仕方がないので、相手を良く見ることにして、観察すると、彼の顔は何と、鱗だらけだった。顔中、鱗だらけ。驚いて、目を丸くしていると、彼はやっとわかったのか、という顔をして、私を見つめながら、更に何かを言いたそうにしていた。鱗になる病気なんだわ、私は、お大事にと心で言った。電車は、駅に着いた。別のある日、また小田急線に乗った。同じ様に晴れた日の昼間。また、立っているのは私、そして、もう1人、見ると、鱗の男の人が、同じように、乗っていた。他の乗客を見ると、全員寝ている。全員寝ていることなんてあるのか????男の人はまた私に、目で語りかけて来た。サプリメントがどうだとか、言っている。声に出してはいないが、テレパシー???兎に角、眠っていて、1人も起きてない真昼の特急電車の中で、鱗男にひたすら魅入られて、困り果てた。彼は、サプリメントだと言っている様だった。やっと、駅に着いて、ドアが開いた。鱗男は、黙って降りた。鱗病なんだわ、気の毒に。私は、彼の体も見ておこうと思い、」ホームに立つ寸前の彼の腕を見た。日差しを浴びて、腕にも鱗が現れた。陽射しを浴びると鱗が出てくる病気なんだわ。
彼を見てから16年過ぎた。レプトリアンと言われている、トカゲの様なエイリアンが地球にいる事を知った。そうか、彼はレプリアンか、私と同じようにレプトリアンが混ざっているのかで、鱗が隠せなくて困っていたのだと、最近わかった。