子供の頃、伊豆への温泉旅行へ母親と叔母と祖母と出掛けることが多かった。その頃の伊豆は、東京では絶対に見ることのない花々があらゆる所に咲いていた。そこへはもう行くことは無いと、殆ど忘れていた伊豆のある街へ、まるで花に呼ばれている様に、又何度も伊豆急に乗って出掛けることが多くなった。そして、大昔に宿泊していた、同じ場所へ、又宿泊することになり、時は一気に昭和60年代に戻った。全く、同じ道が同じようにあり、1人、裏山を散歩しながら、ここは、母親と叔母と歩いた道だと、思い出した。鬱蒼と茂っている木々の下に、青い花は隠れるように咲いていた。その青さは、コバルトブルーで、花びらは肉厚の見たことのない花。
花は、誰にも言わないでと言っていた。その時、思い出した事が、ものすごく怖っかのは、母親の言葉だった。青い花が咲くんだって。南極から持ってきた花よ。南極、わかる???伯母は、南極に花なんて無いわ、と言ったが、母は、ムキになって、あるのよ、南極から青い花を持って来たと、言い張っていた。伯母は、お姉ちゃんは見たことがあるの??あるわよ、それをここに植えたのよ。そう言っていたことを思い出した。目の前の、見たことも無いほど青い花は、見られたく無いと言っているように、申し訳なさそうに咲いていた。昭和60年代のある日、伯母は私に、南極へは普通には行かれないし、寒くて花なんて咲かないし、第一、植物はないのよ、そう言って聞かせた。母は、叔母が先に進むのを待ち、こっそりと私に耳打ちした。いつか、あんたは見るわよ。物凄い色の、青い花を必ず見るからね。それは、私がいなくなってから。覚えておきなさいね。花の写真を撮ったけれど、その事を思い出して怖くなり、消してしまった。その花を見たら、何とかと言っていたけれど、怖すぎて内容は忘れた。もう一度、見に行こうかとは思うけど、時期が合わないと咲いている姿は見えない。レプトリアンの母親が言っていたことだから、思い出さない方が幸せかもしれない。