子供の頃、人には見えて居なかったものが見えていた。空を飛んでいる大きな鳥も、空を飛んでいるカッパも私にだけ見えていた。カッパはきゅうりーと言っては多分水かきのついている三本の指の付いている手を空から伸ばしてきては、私にきゅうりをねだってきた、カッパは北斎さんが描いたのとほとんど同じだった。ただ、昼間の空を飛んでいた、不思議の森の近くなんだから、カッパが空を飛んでいても不思議はなかった。私はまだ見たことのなかったきゅうりを、鱗と尻尾を持っている母親にねだった、あんた、きゅうりを知らないじゃない。うん、なんできゅうりなの?カッパ。カッパ。3歳の私は空から、私はカッパです、きゅうりをください、そう言ってくる空に浮かんでいるカッパの存在を変だとは思わなかった。カッパ、空を指さしてカッパーと言うと、鱗と尻尾の生えた母親は不思議そうに空を眺めて、見えないけど空にカッパがいるんだわ、見えないけど、あんたには見えるの?うん、カッパ、鱗と尻尾の生えた母親は、きゅうりを私に手渡した、これをあげて、あんまり来ないでとカッパに言うんだ、ドスのキイタ男の声でそう言って私を睨みつけた、急に男の声になる尻尾の生えた母親は、鱗と尻尾を隠して、父親のふりをしている、気の小さい男と仲良く家に入った、私は、空のカッパにきゅうりを渡して、怖い母親が突然男になると伝えた、カッパは、知っているよ、こうして時々見にきているよ。心配だからね。カッパは王子様みたいに素敵な声で私からキュリを受け取った。そして、空を周り、空を泳いで行った、大きな鳥も、カッパも空の低い所からいつも私を見ていた、3歳の私はその頃、空には色んなものが飛んでいて、話しかけてくると思っていた、不思議な世界に生まれてきたなーと、普通に思っていた。最近気がついた事は、私の目玉は丸くないと言う事。小学校入学の写真が出てきた、私の目玉だけ、丸くないことがハッキリと映し出されている、白黒の入学式の記念写真、目玉が細長いのよ。そー言えば、私は色んなものを見ていたのかも知れない、