幼い姉の命は語る。妹よ、良く知りなさい。妹よ良く知りなさい。私は、彼方から来たのではなく、何時も貴女の命と重なりあった宇宙、神と重なり合った宇宙の中の、人、と言う命の一つです。人間は男と女であり、神も同じです。私は貴女の母親と、貴女の父親とは違う父親の子供です。この父親は毎日、私を犯すのです。父親の眼差しが私を犯し、指が私を犯す。舌はなめずり、私の身体を這いずりまわる。私は朝から何も食べさせては貰えず、夜になると母親と父親が持って帰るアンパンを一つ食べたくて、父親の言う事を聞くしかなかった。母親はそれを楽しんでいた。窓を開ける事は許されず、一日中陽の光も無い狭い部屋の中で暮らしていたのです。それは、どれ程の月日であったのか、判らない程です。私はこの世界に産まれてから、まだ一度も外へ出た事も無いのです。貴女の青い目が私を写してくれるまで、父親と母親以外には私を写し出してくれる人はいなかったのです。あの、悪魔達は貴女の目が青い事にはまだ、気づいてはいない。でも、悪魔とは鋭い様です。ある日、二人は私に言ったのです。お風呂に入りその臭い身体を綺麗にしなさいと母親が突然に言い出したのです。父親は今更どうするんだ。そう言って狼狽たが、母親は風呂屋に連れて行く様にと、小銭を渡した。私は、産まれて初めて夜の世界を見ることが出来ました。そして、産まれて初めての生湯に入ったのです。妹よ、どうか、いつの日にか私の事を誰かに知らせて下さい。悪魔のしている事を伝えて下さい。私はいつかあの悪魔に殺される時が来る事を知っています。妹よ、必ず誰かに私がこの世にいた事を伝えて下さい。私は全力で貴女を守ります。だから、私という人間が、日本の東京にいた事を、必ず伝えて下さい。美しい少女は美しい眼差しに涙を溜めて、心で赤ん坊の私に語る。涙とは、煽れない程の悲しみを意味する事なのでしょうか。もし、私の目が写せるのならば、この世界の私が見るものは全て写します。そして、必ず貴女の事を伝えます。必ず貴女を助けられる様になります。二人しかいない姉妹なんです。助けあって生きて、悪魔に勝てる様に、私達の心を繋ぎ、そして私がもう少し大きくなったら、二人手を繋いで光の中を歩きましょう。私は姉の笑顔を初めて見た。本当に美しく可愛い笑顔を見た。その笑顔を見る為に産まれて来たんです。私たちは、その時幸せだった。