毎日のように来店するようになったクレーマーオヤジ。オヤジが来る時間帯のバイトたちは戦々恐々としていた。
 
私メの時間帯に買い物にやってきたラストの時間帯のバイトが…
 
「昨日も来たんだよ~。例のお客さん…。ここのところ毎日だから胃が痛い
そんでもって、手前の男の子のレジも空いてたのにわざわざ女のワタシのところに来るんだよ!絶対弱そうなヒトのレジに来るから要注意だよ。
おつり渡すときに手が震えたよォ~。昨日は怒鳴りださなかったからよかったけど、一昨日は警察呼んだんだよ!いきなり怒鳴って暴れだしたからさ~。」
 
と愚痴をこぼしていった。
 
クレーマーオヤジよ。警察まで出動するほどになっていたのか…。
 
バイト先の事務室にはデカデカと防犯カメラのクレーマーオヤジ画像が貼り出され
 
 『彼が例のお客様です。気を付けて対応してください。万が一危害を加えられそうになったら防犯ボタン&警察に連絡をして、店長まで電話。事務室に逃げて鍵をかけてください。』
 
と赤字で注意書きがしてあった。
 
…うちの店は小規模なため、店長は他の店と掛け持ちなのである。しかし、そんな大問題になっているならなぜ店長よ。その時間帯にやってこないのだ。
 
そして、ある時それは起こった。
 
品物を袋詰めしていたレジの男の子の入れ方が気に入らなかったのか、いきなり怒鳴りだしたクレーマーオヤジ。袋詰めしていた男の子の腕をいきなり鷲掴みにしたのである。
 
そんな様子を見ていた鋭い目つきの男がいた。
 
お客様を高飛車な態度で怒鳴りつけ、気に入らないバイトは虐め倒していた元・店長…別名、オレさま店長がちょうど買い物にやって来ていたのである。
 
オレさま店長はいきなりクレーマーオヤジに怒鳴りだし、警察に電話をしたのだ。
警察が来るまでクレーマーオヤジに怒鳴りつけるオレさま店長の声が店中に響き渡っていた。
 
これにはクレーマーオヤジも面喰っていたようで、一言も発することもなく警察に連れて行かれたのであった。
 
しかも、自分の店でもないのに、勝手にクレーマーオヤジに『入店禁止』を通達していたらしい。…恐るべしオレさま店長。
 
クレーマーオヤジに腕をつかまれた大学生バイトは…
 
「クレーマーオヤジより、警察が来るまで怒鳴りまくってた元・店長のほうが怖かったっす
 
と一言。オレさま店長がいて助かったのは事実であるが、やはりうちの店には舞い戻ってこないでほしいと思う今日この頃である。