陰柔不中正、意志が弱くて節制を守る事を知らなければ、やがて嗟きいたむような結果をもたらす。しかしみずからその非を知って改めれば、咎はない。全て自分のしわざである。過剛不中、旅に出てせっかく暫しやどるべき宿屋に落ちついたと思ったらその宿屋は焚かれてしまい召使いの若者も主人の手荒い扱いにあいそをつかして行方知れずという象。たとえ旅に出た目的は貞正であったとしても、危険な事である。何とも痛ましい事である。旅にある身で目下の者に手荒く接するというのでは、筋道からいっても相手がいなくなるのは当然である。陰柔不中正、頤養の正道にもとって妄りに養いを求める象。このようであればたとえ求める相手が正応の上九であり、その限りにおいては貞正であっても凶である。十年たっても行動を起こしてはならぬ。よろしい所がない。いるべき道が大いに間違っているからである。泥地に需つ。時には外寇の襲来を招く事もある。災いがすぐ外にある。敬慎すればこれに敗れることはなしにすむ。陰柔不正、上九に応じようとするが睽違の時期なので事が志とたがい、二陽に前後から妨げられる。すなわち九二は後から輿を曳っぱろうとするし、九四は前に居て輿の牛をひきとどめようとする。しかも上九も疑い深くなっているので六三の人は天(髪を切る刑)や劓の刑罰を加えられるような憂目に遭うが最後にはその疑いも解けて相遇う事を得る。初めだめだが終わりはよい。最後に上九と相遇うからである。