飛竜天に在り。大人を見るに利ろしとは何の謂いぞや。子曰く同声相い応じ、同気相い求む。水は湿えるにながれ、火は燥けるに就く。雲は竜に従い、風は虎に従う。聖人作りて万物観る。天に本づく者は上に親しみ地に本づく者は下に親しむ。すなわち各々その類に従うなり。黄色い裳(袴)を着た臣下。 中庸柔順の徳が自ずと外にまで現れた立派な人物。大いに吉。柔中の徳あって君主の地位に在り、しかも九二の陽剛を正応にもち、群陽の心服をかち得ている。君臣間の誠意が互いに交わりあっている象である。ただ君主たる以上はその威厳を保つことが肝要であり、これを保ち得れば吉である。臣下の誠心の志をも啓発するからである。威厳を保ち得ることが吉というのは威厳がないと相手があなどってこれに備えようとする気持ちをなくするからである。陽剛中正、小人を決去する君子の中心人物ではあるが、上六の小人と最も低い地位にあり、これと扭れ親しんで濡れる和合しやすい点で山間の湿潤地を好む山ごぼうに例えられる。しかし陽剛中正の君子であるからには決去すべきものを決去する意志は固い。中庸の行いを忘れなければ咎を受けることにはならない。中徳を光大に発揮してはいないからである。