陽剛居極、鴻が逵すなわち天空はるかなる雲の大路にまで飛び進んだ象。その羽は美しくりっぱで儀(儀式の飾り)に用いるに足るほどで、吉である。立派で乱すことができないからである。陰柔居極無応、徳が薄く配偶を得られない。せっかく婚約を交わしてもその結婚は成立し得ない。たとえて言えば、女が嫁入りの仕度に竹籠を受け取っても中身が入っておらず、男が婚礼の用意に羊を割いてみても不吉なことに血が出ない。誠意のない相手である。これでは万事によろしくない道理である。中身の入っていない竹籠を受け取るという事である。陽剛居極、未済も今や終ろうとする時であるから、心の誠実さを失わず、静かに酒を飲んで悠然と時勢の転換を待つ心がけであれば、咎はない。しかし事の済らぬのに焦って酒に溺れ首まで酒びたりになるようでは、たとえ誠実の志があっても、それまでに積みかさねた是なること、手柄まで併せて失ってしまうことになるだろう。やはり節制するのをしらないのである。陰柔居極、進んで難を救おうとすればますます蹇む事になるが、とどまって九五の君と共に事に当れば大いなる功績をたて得て、吉である。九五のような大人に出会うことがよろしい。君という貴い身分の人に従う事である。